第95回全国高校ラグビー大会は2016年1月11日に決勝戦が行われ、東海大仰星が桐蔭学園を37-31で敗って2年ぶり4回目の優勝となりました。
この結果、今年の東海大仰星はチーム発足以来公式戦無敗で、春の選抜高校ラグビー、夏の全国7人制高校ラグビーとともに3冠達成ということになります。
今回は今年の東海大仰星の試合を振り返ってみたいと思います。
全国高校ラグビー大会決勝
まずは全国高校ラグビー大会の決勝戦について見ていきます。高校ラグビー決勝は東海大仰星(大阪1)と桐蔭学園(神奈川)の対戦でした。2年前と全く同じカードでこの時は東海大仰星が19-14で勝利しています。
この試合も最初に得点したのは東海大仰星。相手のノックオンオフサイドに乗じて、ゴール前ラインアウトとすると、そこからボール継続して主にFWが近場をついてフェーズ重ねて、じわじわとゴール前へ。最後は5番が相手タックル受けながらも倒れずに前進してトライ!7-0と先制。
東海大仰星7-0桐蔭学園 前半3分 東海大仰星トライ!ゴール成功
対する桐蔭学園は前半8分に距離のある位置からPGを選択。このショットは惜しくも届かないものの、その後前半11分に相手のノットロールアウェイからPGを選択。このPGを決めて、桐蔭も3点を加えて、7-3とします。
東海大仰星7-3桐蔭学園 前半11分 桐蔭学園、PG成功
仰星は前半14分、再び相手ペナルティから敵陣ラインアウトとし、そこからフェーズを重ねて攻撃。最後ラックからブラインドサイドへ、9番→6番とつないで、相手タックルをうまく左にかわして左隅にトライ!12-7と東海大仰星がリードを広げます。
東海大仰星12-3桐蔭学園 前半14分 東海大仰星トライ!ゴール不成功
対する桐蔭学園はこの日はキックをほぼ使わず、自陣からもボール継続して展開。前半17分頃、相手キックから8番がカウンターで攻撃。その後、相手ペナルティからゴール前ラインアウトを選択すると、5番が前進。インゴール目前に迫ると、その後FWで近場をついて攻撃。最後3番が押し込んでトライ!ゴール成功して2点差と追い上げます。
東海大仰星12-10桐蔭学園 前半20分 桐蔭学園トライ!ゴール成功
その後キックオフから再び自陣からボールつなぐ桐蔭学園。SH斉藤主将がうまくコントロールしながらボールをまわしていき、フェーズ重ねながら徐々に前進していきます。前半24分、敵陣は入ったところで、ラックから右に素早く展開。2番からバックドア12番にパスし、相手タックル外すと、そのまま抜け出してトライ!ゴール成功で桐蔭学園が逆転に成功します。
東海大仰星12-17桐蔭学園 前半24分 桐蔭学園トライ!ゴール成功
対する東海大仰星も前半終了間際、相手ボールのターンオーバーから攻撃すると、最後はゴール前スクラムから中央へまわすと、6番眞野主将が相手タックル受けながらもインゴールに押し込んでグラウンディングしてトライ!ゴール成功で再び東海大仰星が逆転し、前半終了となります。
東海大仰星19-17桐蔭学園 前半28分 東海大仰星トライ!ゴール成功
後半に入り、先に得点を入れたのは東海大仰星。敵陣でのラインアウトからボールキープすると、ラックから9→10と渡り、そこからフラットに外側へパス。パスした瞬間に外側に移動した13番がギャップ抜け出して2対1を作ると、さらに外側14番にパスしてトライ!ゴール決まって東海大仰星が追加点をあげます。
東海大仰星26-17桐蔭学園 後半3分 東海大仰星トライ!ゴール成功
さらに後半10分には敵陣でのマイボールスクラムからボール動かすと、ゴール前まで相手ペナルティをもらうと、すかさずショット選択。中央からのPGを決めて、点差を広げます。
東海大仰星29-17桐蔭学園 後半10分 東海大仰星、PG成功
さらに東海大仰星は、自陣でボールまわす桐蔭学園にプレッシャーをかけてマイボールスクラムに。ここから東海大仰星がモールを組むと桐蔭学園がオフサイド。東海大仰星は中央からのショットを決めて、さらに点差を突き放し、15点差とします。
東海大仰星32-17桐蔭学園 後半20分 東海大仰星、PG成功
なんとか早く得点を返したい桐蔭学園は、相手オフサイドからタップキックですぐに始めると、いったん外に展開し、その後FWで近場攻めていき、最後は3番が押し込んでトライ!ドロップキックでゴールも決めて8点差とします。
東海大仰星32-24桐蔭学園 後半26分 桐蔭学園トライ!ゴール成功
しかし、東海大仰星も相手が自陣で展開し、ボールこぼれたところに素早く反応し、ボール奪うと、まずはFWで押し込んでから左へ。14番がボール貰うと左へ流れながら抜け出し、相手タックルも外してトライ!東海大仰星が突き放します。
東海大仰星37-24桐蔭学園 後半28分 桐蔭学園トライ!ゴール成功
時間はロスタイムに入り、桐蔭学園は最後の攻撃。ハーフウェイライン付近からボールつないでいき、フェーズ重ねると、28フェーズ重ねた上で最後は3番が飛び込んでトライ!ゴールも成功します。
東海大仰星37-31桐蔭学園 後半34分 桐蔭学園トライ!ゴール成功
試合はここで終了。東海大仰星が桐蔭学園の反撃を抑えて、優勝となりました。
東海大仰星の軌跡
今年の東海大仰星は最後まで負けることなく高校3冠を達成しました。今年の東海大仰星はそこまで大きな選手が揃っているわけではないですが、ここまで相手に攻め込まれてもそこからゴールラインを割らせない粘りのディフェンスで守り勝つ試合が多かったです。
この大会でも、トライを奪われるケースは準決勝・決勝で増えたものの、相手ラックにかける人数が少ない時には乗り越えていく、ピンチのときでのチョークタックルでマイボールスクラムにするなど、うまくピンチを乗り越えていったと思います。
今年の東海大仰星ですが前評判はそこまで高いチームではなかったです。少し今年度を振り返ってみましょう。
大阪府ラグビー新人戦
ちょうど1年前に大阪府の新人戦が行われました。この時点では、全国3冠を達成するほどのチームとは思えなかったというのが正直な感想です。
もちろん弱いチームではないですが、少なくともこの頃は大阪でも2番手か3番手あたりかな、という感じで、今年は少ししんどそうだなと思った記憶があります。
近畿高校ラグビー大会
今年の仰星が強さを発揮したのは、3月の近畿大会からかと思います。
この大会で、御所実業・常翔学園・天理という関西の強豪相手にしっかりとしたディフェンスで守り勝って優勝できました。
御所実業相手にはディフェンスの出足の速さと、さらに今の形と同様にFWでしっかり前進してチャンスを作る場面が目立ち、この辺りから強さが際立ってきたかなと思います。
全国選抜高校ラグビー大会
そして1冠目となる選抜高校ラグビー大会です。
この大会では予選リーグを危なげなく通過すると、決勝トーナメントではまず全国高校ラグビーの決勝で当たることになる桐蔭学園と対戦。この時点では東海大仰星がかなり強さを見せた試合になりましたが、この段階でボールへの寄りの早さやこぼれ球への反応の早さなど、今に通じる強さを見せてきたかなと思います。
一方で、この頃はそれほど強さを感じなかった桐蔭学園がここから冬までにしっかりとフィジカル面でも鍛え上げてきたというのが今回の花園でも見てとれたかなと思います。
大阪府高校総体ラグビー
続いて5月に開催の高校総体ラグビー大会。花園予選のシード校が決定するこの大会でも持ち前のディフェンスで相手にトライを奪わせずに、勝利を収めてきました。
決勝となった常翔学園との試合でも後半リードしてから相手にボールキープされて自陣に迫られる場面が続いたものの、しっかりとダブルタックルでしっかりと相手を倒し、攻撃を食い止めていました。ディフェンスで守ってリズムを作るというチームの形が現れていた試合だったかと思います。
全国7人制ラグビー大会
続いて夏の全国7人制ラグビー大会です。これは15人制とは異なりますが、2冠目の大会となりました。
決勝では京都成章と対戦し、14-14の同点となるも最後に花園でも活躍したSO岸岡選手がトライを決めて21-14で勝利して優勝。これで昨年度の東福岡に続いて、3冠のうち2冠を達成し、最後花園で3冠をかけて戦う形になりました。
全国高校ラグビー大阪予選〜全国大会
そして最後が今回の全国高校ラグビーです。
予選では、決勝も難なく勝利して、全国大会出場を決めました。
全国大会に入ってからも伏見工業や京都成章など強豪校相手にもしっかりと勝ちきって、準決勝へ。そして準決勝では昨年度王者の東福岡に対し、最後、2点差に追い上げられてから、さらに自陣へと攻め込まれ、フェーズ重ねてくる東福岡のアタックをしっかりと守りきって勝利を収めました。
決勝見事に勝利をおさめて、無敗での3冠達成は、すばらしいの一言に尽きますね。
決して前評判が高いチームではなく、目立った選手も多くはなかった東海大仰星が全国3冠を達成できたのはすばらしい偉業だと思います。その意味では、他の高校にも多いにチャンスはあるんだということを知らしめた大会になったのかもしれませんね。
最後に
今年の高校ラグビーは東海大仰星が3冠達成という形でシーズンを終えることになりました。次のシーズンという意味では、すでに新人戦も始まっている地域もありますし、また新たなシーズンがスタートしていきます。来年度はどの高校が花園優勝となるのか、楽しみな1年がまた始まりますね。
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