第16回選抜高校ラグビー、決勝トーナメント1回戦第4試合は、流経大柏(千葉)と春日丘(愛知)の対戦となりました。
流経大柏は、関東のラグビー強豪校。昨年度の全国高校ラグビー大会ではベスト16進出を果たしています。新チームになってからは、まずは千葉県高校ラグビー新人戦で、他チームを圧倒し、優勝すると、続く関東高等学校ラグビー新人大会でも、本郷高校(東京)、明和県央高校(群馬)を破り、準決勝進出。準決勝では、桐蔭学園(神奈川)相手に36-26で勝利し、決勝進出決定。決勝では、国学院栃木高校(栃木)を26-12で勝利し、優勝。関東1位で全国選抜高校ラグビー大会に進出しています。
予選リーグでは、黒沢尻北高校(岩手)、大阪朝鮮高校(大阪)、つるぎ高校(徳島)と対戦。こちらも3連勝で、決勝トーナメント進出を果たしました。
対する春日丘は、愛知県を代表するラグビー強豪校。昨年度の全国高校ラグビー大会ではシード校にも選ばれ、ベスト16。新チームになてからは、愛知県新人戦では全試合完封勝利で圧倒し、優勝。東海大会でも、東海大翔洋(静岡)、関商工(岐阜)、静岡聖光学院(静岡)相手に快勝し、見事に優勝。東海1位で全国選抜に出場となりました。
予選リーグでは、日川高校(山梨)、荒尾高校(熊本)、同志社高校(京都)と対戦。見事3連勝でこの決勝トーナメント進出を決めています。
決勝トーナメント4試合の中では、唯一、地区大会1位同士の対戦。また大阪勢が出場しない試合となりました。果たしてどうなったでしょうか。
前半
前半は春日丘のキックオフで試合開始です。
試合序盤は春日丘高校が優勢に進めます。序盤から左サイドを11番が駆け抜けてゲインする場面があり、また、相手陣ではモールで押し込み、トライを狙いにいくも、流経大柏ディフェンスが崩れることなく守り切り、得点を許しません。
すると今度は流経大柏がボールキープし、相手陣へ。セットプレーや展開してトライを奪いにいくも、序盤はノックオンも多く、またラックでのペナルティもあって、ポゼッションは高いものの、うまく攻撃を組み立てることができない前半となりました。
先に得点を奪ったのは、春日丘高校。前半20分過ぎ、11番のゲインや相手ペナルティで相手陣22m内に入ると、そこからモールで攻め込みます。崩されかけたものの、ボールは離さず、8番がキープし、インゴールに押し込んでトライ!ゴール成功で7-0と春日丘が先制します。
その後も春日丘がモールを組んで、相手陣5mまで進出する場面もありましたが、最後は相手ディフェンスに絡まれてボールを離せず、ノットリリースザボールのペナルティでチャンスを潰します。
結局前半はこのまま終了。7-0で春日丘がリードして、前半を終えました。
後半
後半は流経大柏高校のキックオフでスタートです。
後半に入って、まず流れを掴んだのは春日丘高校。前半も多用したモールでトライを狙いにいきます。後半5分頃、相手ペナルティからタッチに蹴り、ラインアウトからモールを組みます。いったんラックになるものの、再度モールを形成し、最後は7番がインゴールに飛び込んでトライ!ゴールも決まって14-0とリードします。
さらに春日丘高校は、自陣からゲインし、チャンスを作ると、相手ペナルティからタッチキックを選択。ここで得たラインアウトでモールを組むと、そのまま押し込んで7番がトライ!ゴールは外れ19-0とリードを広げます。
ここまで中々良い場面が少なかった流経大柏高校ですが、残り20分となったところで反撃開始。ここまでミスもあり、うまくつながらなかったボールも次第につながるようになっていきます。
後半12分頃、相手陣でのペナルティからクイックで展開し、連続攻撃。ラックから右に展開すると、11番にボールが渡り、11番が内側へ切り込んで走り、ディフェンスを振り切ってトライ!ゴール決まって19-7と追い上げ開始。
すると、さらに後半15分を過ぎてから、流経大柏が自陣から攻撃。まずは10番が大きくゲインすると、さらに13番もゲインし、ゴール前に迫ると、ラックから10番にパス。10番が左サイドにトライ!ゴールは外れ、19-12と7点差まで追い上げます。
さらに後半20分過ぎ、相手陣で春日丘がノックオンし、マイボールスクラムのチャンスを得た流経大柏が、スクラムから展開し、ラック。そこから7番がディフェンスごと押し込んでいってトライ!ゴールも決まって残り時間7分ほどで19-19と同点に追いつきます。
最後にチャンスをつかんだのは、流経大柏高校でした。相手陣22m内でマイボールラインアウトのチャンスを掴むと、流経大柏がボールキープし、モールへ。最後はFwだけでなく、バックスもモールに参加して、押し込んでトライ!ゴールも決まって26-19とついに逆転に成功します。
結局試合はこのまま終了。流経大柏が26-19で春日丘を倒し、準決勝進出を決めました。
全体を通じて
試合は前後半で違った展開となりました。前評判的には流経大柏が実力的に上かなと見られていたのですが、いざ始まってみると、中々思うような攻撃ができず、前半から厳しい展開となりました。
逆に言えば、春日丘は相手に得点を許さず、前半を上手く乗り越えたとも言えそうです。前半は無得点に抑え、後半はモールを起点に2トライを奪い、大きくリードした時点までは、春日丘にとってここまで完ぺきな展開は想像できないくらい、良い状況になったかと思います。
ただここからは少し気が抜けたことはないかと思いますが、簡単に突破を許す場面も増え、フィジカル面でも段々と苦しくなってきたように見えました。最後は力負けとなってしまった印象です。
とはいえ春日丘としては、選抜では2年連続のベスト8進出となり、すっかり全国大会の上位常連校になってきました。この試合もあと一歩でベスト4というところまで相手を追い詰めることができましたし、チームとしては悪くはない試合だったかと思います。
今年も花園進出となれば、シード校となることは確実かと思いますので、是非花園でまた大暴れしてください。
対する流経大柏ですが、こちらは逆に序盤の出来が非常に悪く、単純なミスもあって、思い通りにいかない試合だったかと思います。前半は1トライ差だったものの、後半10分以内に2トライを追加され、19-0となったところでは、ここから逆転するのはかなり厳しいのではと思われました。
ところがここから開き直っていったのか一気に3トライで同点とすると、最後はバックス一体となったモールで逆転勝ちを収めました。試合自体は途中まではあまり良いところがなかったですし、厳しい状況に追い込まれながらも、そこから逆転したのは素晴らしかったと思います。ベスト8、ベスト4レベルまでいくと、関西勢や東福岡など、西の強豪校との対戦は避けられなくなってきます。高校ラグビーは西高東低と言われがちなので、是非流経大柏には頑張ってもらいたいと思います。
大会全体を通じて
というわけで、第16回選抜高校ラグビー、決勝トーナメントの4試合を見てきましたが、勝ったのは大阪勢が3校に関東から1校という形になりました。大阪勢は昔から強豪揃いではありますが、現時点では少し抜けている印象です。決勝では東海大仰星と大阪桐蔭の大阪勢同士の対戦で、ちょうど2年前の決勝と同じカードになりました。
その際は大阪桐蔭が勝利し、初優勝を飾りましたが、今年は東海大仰星が21-0で大阪桐蔭を破り、見事優勝となりました。東海大仰星の選手、関係者の皆さん、おめでとうございます。
現時点では東海大仰星が一歩リードということですが、まだまだシーズンはこれからですし、サニックスワールドユースや総体予選、夏合宿など、これから成長していくチームも多いと思います。
高校生の皆さんは悔いのないように、日々の練習に取り組んでいってください。
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