第16回選抜高校ラグビー決勝トーナメント、2試合目は大阪代表の常翔学園と、栃木代表の国学院栃木の対戦となりました。
常翔学園は、大阪予選を快勝し、近畿大会に出場。近畿大会では、準決勝で東海大仰星に敗れたものの、3位決定戦では大阪朝高に27-12で勝利し、近畿3位で全国選抜高校ラグビーに出場となりました。選抜高校ラグビー予選リーグでは、東海大相模(神奈川)、東海大第五(福岡)、札幌山の手(北海道)と対戦し、3連勝で決勝トーナメント進出を決めました。
対する国学院栃木高校は、栃木県高校ラグビー新人戦を3連勝で1位で突破すると、続く関東高等学校ラグビーフットボール新人大会では初戦で慶應高校(神奈川)を21-5で破ると、2回戦は茗渓学園(茨城)を31-5、準決勝では日川高校(山梨)に19-10で勝利し、決勝進出決定。決勝では流経大柏(千葉)と対戦し、26-12で敗れたものの、関東大会2位でこの全国選抜ラグビー大会に出場となりました。
予選リーグでは秋田中央(秋田)、佐賀工業(佐賀)、尾道(広島)と対戦。初戦の秋田中央高校戦は19-19で引き分けたものの、佐賀工業戦では22-18と競り勝ち、最終戦の尾道高校には42-5で勝利し、2勝1分で決勝トーナメント進出を決めました。
勝てばベスト4進出となる一戦、果たしてどうなったでしょうか。
前半
前半は国学院栃木のキックオフで試合開始です。前半から優勢に試合を進めたのは常翔学園。常翔学園8番の突破から11番が大きくゲインすると、最後は13番にパス。ボールをもらうとステップを切って中央を抜け出してトライ!ゴールも決まって7-0と先制します。
その後も常翔学園はアンストラクチャーから一気に抜け出すなど、大きくゲインする場面が目立つも、最後はノックオンなどミスで得点できない場面も目立ち、追加点が奪えません。対する国学院栃木も、徐々にボールキープし、相手陣へと攻め込む場面も見られるようになりましたが、こちらもノックオンでチャンスを潰すなど、互いに得点が入らず、時間が過ぎていきます。
7-0から試合が動かず、前半15分が過ぎます。すると、前半17分頃、国学院栃木が自陣から大きく蹴り出そうとキックしたところを、常翔学園がチャージ。転がったボールを常翔学園13番が拾ってそのままボール押さえてトライ!ゴールは外れ、12-0とリードを広げます。
するとその後すぐ、常翔学園が相手のキックをキャッチし、展開すると、左サイドでボールをもらった15番が相手タックルを外していき、そのまま左サイドへトライ!ゴールは外れて17-0とリードを広げます。
その後も常翔学園が自陣からもゲインし、チャンスを作るも追加点は奪えず、前半は17-0で終了となります。
後半
後半は常翔学園のキックオフでスタートです。
後半に入り、先に得点したのはまたも常翔学園でした。後半始まってすぐ、連続攻撃から11番がインゴール直前まで攻め込むとそこから右へパス。最後は10番が右隅にトライ!ゴールは外れて22-0とリードを広げます。
その後は国学院栃木がチャンスをつかみます。相手陣でマイボールラインアウトのチャンスを得るも、ここはボール確保できず、相手ボールへ。その後再び国学院栃木ボールになるものの、相手にジャッカルされて、このチャンスを逃してしまいます。
すると常翔学園が再び攻撃。後半10分過ぎ、常翔学園が連続攻撃から15番がゲイン。インゴールにまで迫ると、右に展開し、最後は右隅に10番がトライ!ゴールは外れるも27-0とリードを広げます。
その後国学院栃木が再びチャンスは作るものの、常翔ディフェンスが崩れることなく、相手陣でオーバーザトップのペナルティ。チャンスを潰してしまいます。
後半20分頃、今度は常翔学園が再びチャンス。相手陣でラインアウトのチャンスを得ると、モールを形成。国学院栃木ディフェンスがモールに集まったところを、常翔学園7番がついて、トライ!ゴールも決まって34-0と試合を決めます。
国学院栃木はここから反撃開始。相手陣でモールを形成し、インゴールまで押し込むも、グラウンディングが確認できず、得点ならず。その後のスクラムから今度は8番が飛び込むも、ここもグラウンディング確認できずにノートライとなります。
しかし、この後、残り5mのところでのフリーキックからインゴール直前でラックとなると、ラック上から超えてボールをインゴールに置いてトライ!ゴールも決まって34-7と追い上げます。
さらに国学院栃木はロスタイムに2番が飛び込んでトライ!ゴール成功で34-14とします。
が、ゴールが決まったところで試合終了。34-14で常翔学園の勝利となりました。
全体を通じて
試合としては常翔学園の快勝だったと思います。常翔学園はサイズの大きな選手、フィジカルの強い選手が多く、この力では圧倒していたと感じます。また、ボールをもらう際に縦に素早く走る意識が高く、ディフェンスラインを大きくブレイクする場面も目立ちました。また、個々のステップも素晴らしい選手が多く、特に13番川井君のキレのある走りは高校トップクラスと言っていいでしょう。
その一方で、ややミスが多いのは気になるところです。相手ディフェンスにもよりますが、大きくチャンスを作るも、得点まで結びつかない場面もあります。オフロードパスでつないだり、走り込んだ場面にパスすることも多いので、仕方ない面もありますが、もう少し減らせると良いかと思います。
とはいえ、ここまでの試合を見ても縦に強いランナーとフィジカルの強いFWを兼ね備えているチームなので、相手からすると大きな脅威になっているかと思いますし、落ち着いて試合を進めれば、全国優勝も可能かと思います。
対する国学院栃木ですが、前半から相手の素早くキレのあるランナーや突破力のあるFWに何度もゲインを許す場面がありましたが、なんとか粘っていたかと思います。前半は風下で3トライは奪われたものの、何とか耐えていたという印象です。
攻撃面ではチャンスがたくさんあったわけではないですが、相手のミスもあって、何度か掴んでいたかと思いますが、うまく生かすことができませんでした。気になったのは後半相手陣でラインアウトのチャンスがあったものの2度ほど乱れて相手ボールになってしまったこと。前半からラインアウトでは、手前に大きなジャンパーを置き、プレッシャーをかけてきた常翔学園でしたが、このプレッシャーがあったのか、何度か乱れる場面がありました。ボールを確保できれば、という場面もあったので、うまく確保できていればもう少し違っていたかもしれません。
また、そうはいっても最後にはFW陣がモール、連続攻撃などこだわりを見せて2トライを取りきったのは大きな収穫だったと思います。特に大阪の強豪相手に練習成果が出せたことは大きな自信になったのではないでしょうか。
大きな目標は冬の花園で上位進出することになるかと思いますので、これから夏~秋にかけて更なる向上を目指して、冬の花園で成長する姿を見せてほしいと思います。
なお、ベスト4の試合はすでに開催されており、常翔学園は準決勝で東海大仰星と対戦。結果としては東海大仰星に敗れ、3位で終わることになりました。近畿大会でも東海大仰星に敗れ、3位になった常翔学園ですが、熊谷でも再度3位となってしまいました。力は十分ありますので、この借りは是非花園で返してもらいたいなと思います。
是非頑張ってください。
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