ラグビー世界ランキングの仕組み~ラグビー世界ランクはどう決定されるか?~

ルール
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他のスポーツ同様、ラグビーでも世界ランキングというものがあります。世界の国をランキング形式にして並べるもので、現時点での強さがある程度知ることができます。特にラグビーの場合、他のスポーツと違って、このランキングがある程度良い精度を保っており、あてになるランキングになっているので、世界ランクを参考に国同士の対戦での力関係が語られることが多いです。

ではそんなラグビーの世界ランキングはどのような仕組みでランクを決定づけているのでしょうか。

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ラグビーの世界ランキングはポイント制である

まず大前提として、ラグビーの世界ランキングはポイント制となっています。ポイントが高い国が上位になります。ではそのポイントはどうやって決められるのでしょうか。

ポイントは国同士の対戦時に変動する

まず、ポイントは試合がない時には一切変動はしません。変動するのは国同士の試合・テストマッチ・国際大会(W杯など)があるときです。例えば、今70点というポイントを持っている国が1年間他国と試合をしなければ、1年後のポイントは70点のままです。

現実には1年間試合をしないというのはランキング上位の国ではありえないことですが、理論上はそうなります。

ランキングは毎週月曜に更新

ポイントの変動は試合があったときですが、ランキングが更新されるのは毎週月曜日となっています。週末にテストマッチがあった場合、土曜と日曜で試合が分かれていたりします。試合があったらすぐにピントが動いて順位変動されるわけではなく、ランキング更新は月曜日に一斉に行われます

なお、試合がない時にも更新はされますが、上記のように試合がないとポイントの変更は行われないので、世界ランキングも前週と変わらず、という形になります。

ポイント計算方法

さてではその世界ランキングを決めるポイントの計算方法を見ていきたいと思います。計算方法にはルールがあるので、それを知ってしまえば、だれでも計算できます。

基本①:同じポイント同士の国の対戦は勝てば1ポイント

まずは基本ですが、同じポイントの国同士の対戦の場合、勝てば1ポイント、負ければ1ポイントとなります。

今、仮にA国が70ポイント、B国も70ポイントで並んでいて、このテストマッチで両国が対戦した場合を考えます。

ここでA国が勝利した場合、A国に1ポイントが追加され、B国は1ポイント減少します。そのため、A国が71ポイント、B国が69ポイントに変更になります。

基本

ちなみに引き分けの場合は両チームとも得点動かないことになります。

ただ、これはあくまで基本。これに加えてまだまだいろんな仕組みがありますので次を見てみましょう。

基本②:ポイント差がある時の計算方法

さて、通常は上記のように対戦国が同じポイントになっていることはほとんどありません。そこでポイントに差がある時、どう計算されるかを見ておきます。

先に結論を書いてしまいますが、両国のポイント差がある時は、以下の計算式になります。

両チームのポイント差がxポイントある場合
ポイント上位の国
勝利1-0.1xポイントUP
引き分け0.1xポイントDOWN
敗戦1+0.1ポイントDOWN
ポイント下位の国
勝利1+0.1xポイントUP
引き分け+0.1xポイントUP
敗戦1-0.1xポイントDOWN

このままだとわかりにくいので具体的に考えてみましょう。

今、仮にA国が65点、B国が60点とします。つまりA国のほうがポイント上位で、ポイント差が5点あります。このとき、A国が勝利すると、同じポイントの時は1点アップだったのに、今回は、1-0.1×5(ポイント差)=0.5ポイントしか上昇しません。敗れたB国は同じポイントの際は1ポイントダウンしていましたが、今回は、1-0.1×5(ポイント差)=0.5ポイントしかダウンしません。

つまり、ポイント上位の国が勝ってもポイントは上がりにくく、ポイント下位の国は負けてもさほどポイント減ることはない、ということです。

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逆に、A国が65点、B国が60点で、B国が勝利した場合、A国は1+0.1×5(ポイント差)=1.5ポイントダウンします。B国は1+0.1×5(ポイント差)=1.5ポイントアップします。

つまり、ポイント上位の国が負けるとポイントは一気に下がり、ポイント下位の国は勝つと一気にポイントアップすることになります。

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ポイント上位の国=世界ランキング上位=強い国なので、勝つ可能性が高くなります。そこで、勝ってもポイントは上がりにくく、負ければ一気にポイントダウンする仕組みになっているわけですね。

10点以上ポイント差がある時

ただし、上記のポイント差のルールにはもう一つ追記しておくべきルールがあります。それはポイント差が10点以上ある時です。

仮にポイント差が15点差空いている2か国が対戦し、上位の国が勝つ場合を考えます。上記計算方法をそのまま当てはめると、勝利したポイント上位の国は、1-0.1×15=-0.5となり、勝利してもポイントダウンしてしまいます。逆に敗れた国は負けてもポイントが0.5ポイントアップしてしまいます。これではまずいので、ポイント差が10点以上の時は、10点の際と同様の計算方法になります。さすがに、勝ったのにポイントダウンはあり得ないですからね笑。

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point4

ただし、10点以上ポイント差ある場合、上位の国は勝利してもポイント変動なしです。逆に下位の国もポイント動きません。上位の国からすると、勝ってもポイント動かないうえ、負けたら、大きくポイントダウンしてしまうので、あまり試合したくないですよね。ラグビーでは強豪国であるティア1の国が、ティア2と呼ばれる国とあまり試合をしないのですが、それにはこのポイント制度も関係してそうです。

基本③:ホームアドバンテージで3ポイントを調整

さて、ポイントに差がある場合は上記の調整を行うのですが、もう1つ調整しないといけないことがあります。それがホームアドバンテージです。ラグビーでもホームのチームは多くの声援を受けますし、慣れたグラウンド・気候で試合をすることができます。そこで、ホームのチームには、ポイント3点が追加された状態でポイント計算を行います。

例えば、A国が65点、B国が60点となっている2か国の対戦をB国のホームで試合を行ったとしましょう。通常ならA国が5ポイント多いので、A国は勝てば+0.5点、負ければ-1.5点となります。(逆にB国は勝てば+1.5点、負ければ-1.5点。)ただし、B国にはホームアドバンテージがあります。そこでB国は3点を加えて63点でポイント計算を行います。

この場合、両チームのポイント差は2点に縮まります。そのため、A国は勝利すれば、1-0.1×2(ポイント差)=0.8ポイントアップ、B国は負けなので1-0.1×2(ポイント差)=0.8ポイントダウンします。

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A国が負ければ、1+0.1×2(ポイント差)=1.2ポイントダウン、B国は勝利なので1+0.1×2(ポイント差)=1.2ポイントアップとなります。

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なお、第三国で行った試合は、当たり前ですがどちらのホームでもないので、ホームアドバンテージの3点追加はありません。2015年イングランドW杯では、ホームはイングランドのみとなります。2019年W杯は日本開催なので、日本は常にホームアドバンテージがある状態でランキング計算されることになります。

基本④:15点差以上で勝利するとポイントは1.5倍

さて、ここまでで大体の計算方法は終わりなのですが、さらに勝ち方・負け方もポイントに影響します。もし15点差以上で勝利した場合は上記のポイントが1.5倍となります。

A国65点、B国60点の際(どちらのホームでもないという前提)に、A国が30-12で勝利した場合は、A国が通常0.5ポイントアップとなるところ、0.5×1.5=0.75ポイントアップになります。逆にB国は0.75ポイントダウンとなります。ランキングのことを考えると、得点差をつけて勝利するのが大事になってきますし、負ける際に得失点差を少なくすることも重要になってきますね。

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基本③:W杯の対戦ではポイント2倍に

さて、通常のテストマッチの場合はこれだけなんですが、さらにポイント2倍となる大会があります。それがW杯です。W杯時だけはポイントアップもポイントダウンも2倍された数値でなされます。なお、もちろんこれまでのルールは適用されるので、仮にW杯で15点以上得失点差が離れていた場合は1.5×2=3倍ポイントが上下することになります。W杯時はポイントが大きく動きやすいわけですね。

W杯でのジャイアントキリングは一気に4ポイント増減もある

参考ですが、2015年W杯時に日本代表が南アフリカ代表に歴史的勝利をあげました。当時の南アフリカはポイントが85.15で世界ランキング3位。逆に日本代表は72.06で世界ランク13位でした。この試合の結果は34-32で日本が勝利します。では、ポイントはどう変動したでしょうか?

このゲームは、どちらのホームでもないイングランド開催なので、ホームアドバンテージはなし。ポイント差が85.15-72.06=13.09で10点以上の得失点差がありました。

この時点で日本が勝利した場合は、10点差時と同じ1+0.1×10(ポイント差:10点以上なので10点で計算)=2.0ポイントアップとなります。しかし、W杯のため、このポイントが2倍されて、日本は勝利すれば4ポイントアップ。逆に南アフリカは敗れれば4ポイントダウンという試合でした。

実際に日本が34-32で2点差で勝利したため、南アフリカは81.15とポイントを下げ、世界ランキング6位に、日本は4ポイント上昇し、76.06となり、世界ランク11位にランクアップしました。

このような感じで計算されます。

まとめ

再度まとめておくと以下のような形でランキング決定となります。

  1. ランキングはポイントで決まる
  2. ポイントは国同士の対戦時に変動する
  3. ポイント差がない場合は勝てば1点アップ・負ければ1点ダウン
  4. ポイント差あればその分上位チームがポイント上がりにくくなる
  5. ホームアドバンテージでポイント調整あり
  6. 15点差以上得失点差があればポイント上下は1.5倍に
  7. ラグビーW杯時はポイント上下は2倍に

見てのとおり、試合前時点でのポイントは明らかになっていますし、ホームかどうかも分かります。得失点差は試合をやってみないとわからないですが、15点以上か15点未満で分ければいいので、勝てばポイントがどうなるか、負ければどうなるかというのは試合前にわかります。

これがわかると、勝てば世界ランキングが上がるな、とか負けるとランキング下がりそうとかも事前にわかります。意外と簡単な仕組みになっているので、皆さんもこれからは是非世界ランキングのポイント制を理解していただければと思います。

また、このような仕組みのために、ラグビーは弱小国に連勝していってもランキング上位になることはありません。また、ランキング上位に居続けるには勝ち続ける必要もあります。この仕組みのために、ランキングと実力が相応になりやすくなっているのです。

ポイント制を理解すると、ラグビーのテストマッチを見る際にもまた、違った楽しみ方もできるので、皆さんもぜひ理解しておいてくだいね。

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