ラグビーといえば、15人でやるもので、今年はW杯の年ということを考えるととても重要な年となります。一方で、7人制のセブンズについても今年は重要な年であることは間違いないでしょう。
なんといっても今年はセブンズワールドシリーズのコアメンバー入りしており、世界のトップと試合をする機会が圧倒的に増えたからです。セブンズワールドシリーズは、世界の9都市を周って、16チームが1日目の予選と2日目のトーナメントで戦うものです。コアチームは全部で15チームで、1チームは招待となります。
コアチームに入れば、このワールドシリーズにすべて参加できるということで、世界の強豪と試合をする機会が圧倒的に増えることになります。2016年のオリンピックでは正式種目になっているラグビーセブンズですので、オリンピックに向けてを考えてもこの経験は大事なものになるでしょう。
ウェリントンセブンズとラスベガスセブンズ
さて、そのセブンズワールドシリーズの第4戦ウェリントンセブンズ(2/6~7)と第5戦ラスベガスセブンズ(2/13~15)が間もなく開催されます。その代表メンバーは以下の通りです。
吉田大樹(東芝ブレイブルーパス)
桑水流裕策(コカ・コーラレッドスパークス)
坂井克行(豊田自動織機シャトルズ)
夏井大輔(東芝ブレイブルーパス)
レメキロマノラヴァ(ホンダヒート)
後藤駿弥(ホンダヒート)
鶴ケ﨑好昭(パナソニックワイルドナイツ)
彦坂匡克(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)
羽野一志(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)
合谷和弘(流通経済大学3年)
藤田慶和(早稲田大学3年)
松井千士(同志社大学2年)
詳しくはこちらもご参考にしてください。
ここにきて、経験あるメンバーも揃ってきており、期待できる陣営になってきたかと思います。2月6日はアメリカ戦、南アフリカ戦、フランス戦となります。まずは初戦のアメリカ戦でどこまでの試合ができるかが大事になってくるでしょう。
コアメンバーから降格の危機
さて、そんなセブンズですが、日本代表は現在3ポイントで15チーム中最下位です。ワールドシリーズでは最下位だと降格となってしまいます。その上の14位はケニアで11ポイント、13位ポルトガルが13ポイント、12位カナダが12ポイント、11位フランスが10ポイントとなっています。
日本は過去3戦で全て1ポイントしか取れていません。
なお、ポイントは下記のようになっています。
1日目のリーグ戦で1位と2位が上位トーナメント(カップ戦・プレート戦)へ。3位と4位が下位トーナメント(ボウル戦・シールド戦)になります。
- カップ戦 1位22pt 2位19pt 3位17pt 4位15pt
- プレート戦 1位13pt 2位12pt 3位10pt
- ボウル戦 1位8pt 2位7pt 3位5pt
- シールド戦 1位3pt 2位2pt 3位1pt
つまり日本は3戦で全て最下位に沈んでいたということになります。
ポイントをあげていくには大きく分けて2つあります。
まずはリーグ戦で2位以内に入ること。2位以内であれば最低でもプレート戦の10ポイントが入ります。
もう1つは、リーグ戦で3位以下になっても2日目の初戦で勝利すること。2日目の初戦で勝てばボウル戦に進むことができます。これで最低5ポイントが入ります。
現時点で14位と10ポイント以上差がついていることを考えるとこの第4戦と第5戦は是が非でもポイントを稼がないといけないわけです。
なんとかこの2戦でポイントを稼いで、コアメンバー残留に向けて進んでいってもらいたいです。
セブンズとトップリーグと入れ替え戦
さてセブンズの今回の遠征メンバーを見てみると、多くがこれまでのワールドシリーズに参加した選手となっています。これまでのセブンズワールドシリーズは残念ながらセブンズをほぼ初めてプレーする選手もいたなど、決して世界トップと争うのに十分なメンバーではなかったと思います。
そのメンバー編成ができたのは、トップリーグシーズン(加えて大学選手権など大学ラグビー)が終わり、日本選手権は残っているものの、そこに出場しない選手はシーズンを終えていることが大きいと思います。
これまではトップリーグあるいは大学ラグビーシーズンと重なっていたため、メンバー編成に苦労していたというのが事実でしょう。
そう考えると、怪我で参加できない選手はいるものの、ようやくメンバー編成が整ってきて、戦える最低限のメンバーが組めるようになったと思います。そういった事情もふまえて、是非選手達には頑張ってきてほしいと思います。
その一方で、今回の遠征に参加している選手の中にはまだチームとしての試合が残っている選手もいます。東芝の吉田選手、夏井選手、パナソニックの鶴ケ﨑選手、コカ・コーラの桑水流選手と豊田自動織機の坂井選手です。特に桑水流選手と坂井選手は、2月14日に下部リーグとの入れ替え戦というシーズン最後にとても重要な試合が残っています。それにも関わらず、この2選手は遠征に参加してくれています。
そもそもでいえば桑水流選手と坂井選手はここまでのワールドシリーズ3戦すべてに、またアジア大会でもセブンズの選手に選ばれています。昨年のコアメンバーからの昇格に大きく貢献した選手で、また長年セブンズを経験しているという意味でもセブンズの日本代表には欠かせない存在です。
一方で所属するトップリーグのチームとしても主力級の選手であり、彼らが入れ替え戦という大事な試合を抜けてしまうことは痛手であると思います。
これまでのワールドシリーズ3戦を見ても、トップリーグ期間中ということで、セブンズワールドシリーズに呼びたかった選手が出られなかったというのがありました。(その結果、セブンズがほぼ初めてという選手たちが参加することにもなってしまったわけです。)
トップリーグのチーム側から見れば、特に主力選手を派遣することは、トップリーグを戦う上では痛手になります。だからこそ、これまでは選手を派遣できなかったという面は否定できないでしょう。
そんな中、ワールドシリーズ全てに桑水流選手と坂井選手を派遣してくれ、入れ替え戦があるにも関わらず今回も遠征に出してくれたコカ・コーラレッドスパークスと豊田自動織機シャトルズの2チームには本当に感謝したいです。
この2チームに対して何かしらのベネフィットがあるかは知ることはできませんが、もし何もないなら、メンバー派遣したチームには何かしらベネフィットを与えた方がいいのではないかと思います。
ひとまず今シーズンについてはトップリーグと日程が被ることはありません。一方で今後もワールドシリーズに参戦することになれば、毎年選手派遣については問題になってくるかと思います。
これについては、日本協会としてセブンズワールドシリーズへの選手派遣について正当な対応を考えてもらいたいです。
追記(2015/2/7)
なおコカ・コーラの桑水流選手はウェリントンセブンズ終了後に、所属チームであるコカ・コーラレッドスパークスに戻るということだそうです。ということで入れ替え戦には出場する可能性が高そうです。
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