2019年ラグビーW杯は日本での開催が決まっています。2015年がイングランドでのW杯開催で、その4年後には日本での開催となります。
W杯の開催会場もすでに決定しており、全国12箇所での開催が決定しています。
準備は本当にできているのか?
さてそんなラグビーW杯が2019年に日本にやってくるわけですが、本当にワールドカップを迎える準備はできているのでしょうか。少し考えてみたいと思います。
ハード面
まずはハード面です。1つはW杯を開催する会場についてです。現時点で12箇所の会場は決定していますが、まだ完成していない、あるいはこれから改修するスタジアムもあります。たとえば釜石市の釜石鵜住居復興スタジアム(仮)はこれから建設されるスタジアムです。あるいは、東大阪市の花園ラグビー場や熊谷市の熊谷ラグビー場はこれからW杯に向けての大規模改修が待っています。また、新設が決まっている国立競技場はW杯の開幕戦、決勝戦で利用されます。
逆に言えば、それまでに計画通り建設することが必要です。建設されないということはないとは思っていますが、スケジュールが遅れる、あるいは予算に収まらないという事態はあるかもしれません。そういった部分を乗り越えて準備を進めていく必要があります。
また、現行のラグビー大会などをふまえてどう改修していくかも重要です。特に花園ラグビー場や熊谷ラグビー場は利用頻度が高く、高校ラグビーの大会も開催されるなど、改修スケジュールも調整が必要になってくるかと思います。
このように会場をいかにW杯までに整えるかは、ラグビー界全体にもかかわってくるかと思います。
また、これ以上に大切なのがどう海外から来る人を受け入れるかということです。ハード面で言えば、場内での表記や設備はもちろんのこと、会場までの導線の確保も大事になってきます。
先日の関西ラグビーまつりのメインイベントは関西学生代表とNZ学生代表の試合でした。会場にはNZから来られたと思われる方もおりましたが、スコアボードはすべて漢字・ひらがな・カタカナでの表記。これについては、花園ラグビー場がこれから改修ということもあり、現行のスコアボードでは英語表記が難しく、致し方ない面はあるかもしれません。今後の改修でしっかり改善していくべき事項でしょう。
また、駅から会場までの道のりや、そもそも最寄り駅までの行き方など、案内も海外からの方を意識したものになっているでしょうか。会場だけではなく、そこまでの道筋においてもこれから準備していかないといけない点は多いかと思います。
ソフト面
ハード面にまして、もっと大事だと個人的に考えているのがソフト面です。大規模な事業となるハード面に対して、すぐに対応できることが多いのもあり、まずはこちらから進める部分は進めるべきなのではと考えています。
先ほどの関西ラグビーまつりでいえば、スコアボードについてはハードとしての改修が必要なので、いきなり英語表記にしろといわれても、すぐにはできないかと思います。ただ、会場で渡されたメンバー表についても同様の表記となっていました。また、場内のアナウンスにしても試合前のアナウンスは英語でのアナウンスがありましたが、試合が始まって以降については、日本語アナウンスのみとなっていました。スコアボードは無理だとしても、メンバー表やアナウンスの部分は対応できたのではないかと思います。果たしてこれで良かったのでしょうか。
ハード面では改修や自治体との検討、あるいは予算の関係などすぐにできる部分は少ないかもしれないですが、メンバー表、場内アナウンスなどのソフト面は今すぐにでもできることでしょう。これからのラグビーの試合、特に国際試合となりうるものについては、日本人だけのものではなく、海外の人が来られてもすぐにわかるような表記、案内といったものを意識した大会・試合作りをしていく必要があると思います。
ラグビーW杯は2019年ですが、それより前に日本は日本語しか書かれていないので、わかりにくかった、という思いをさせないのも大会への準備かと思います。
ファンが準備すること
ここからは自戒もこめてではありますが、2019年に向けてファンもW杯を迎える準備をしていかにといけないなと感じています。いやむしろ、ファンこそがW杯を迎える準備をしていかないといけないかと思います。
たとえば、先ほどの関西ラグビーまつりのNZ学生代表の試合について。海外(おそらくニュージーランド)から来てくれた方に対して、何かできなかったのか。たとえば、何か困っていることがないか聞く。あるいは出場している関西学生代表のことを教えてあげる。もちろん不要といわれれば大丈夫ですが、ちょっとしたことでも何かをしてあげれればまた違ったのかもしれません。できる部分は限られてくるかもしれないですが、1人1人が外国の方をもてなす、というのが大事かと思います。
いずれにしても、どうしてもこれから先、「どうすれば日本でラグビーが盛り上がるか。」という視点でW杯を捉えがちですが、それも大事ですが、W杯は多くの外国人の方が日本にやってくるビッグイベントです。
彼らが困ることなく、楽しく過ごしてもらう。あるいは不具合などなく快適にラグビー観戦してもらう。
そういった視点でワールドカップまでに準備していくことはとても大事かと思います。
日本は「おもてなし」の精神を持つ国ではあります。日本でサービス業や観光業に従事している方のおもてなしは素晴らしいですが、それだけではなく、ラグビーファンもおもてなしをすることを意識しないといけないでしょう。
個人レベルで反省すべき点ですが、これまでそういった考えもなく、協会などにお任せの部分がありました。もちろん、協会などに提案したり、こうしたことが良いと思われることは発信していくべきだと思います。ただ、これからのことを考えると、ハード面だけ、あるいは協会や自治体に任せるだけではなく、これから日本で開催される試合では海外の方をおもてなしする、そういった準備を始めていかなければと思います。
個人レベルでもできるおもてなしをする準備を。心の中に深くとどめておきたいと思います。
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