ラグビーワールドカップイングランド大会での日本代表の活躍により、日本国内でも近年ではこれまでにないほどラグビーへの注目度が上がってきています。テレビを見ても連日代表選手が出演するなど、これまで見たことない光景が続いています。
その一方で、どうしてもテレビ出演などのメディアに出るラグビー選手というのは限られた選手になってしまい、全員にスポットライトを当てることができません。もちろんどんな業界にもスター選手というのが存在して、彼らが中心となってメディアに取り上げられることは悪いことではないです。とはいいつつも、取り上げられることが少ない選手も含めて全員が日本代表であったのも間違いない事実です。
さらにいえば、日本代表としてワールドカップのメンバーに選ばれた選手は31名いますが、それ以前にも多くの選手が日本代表として活躍しています。特に報道でご存知の方も多いですが、ラグビー日本代表は早朝からの長時間の練習(単に長い時間やるのではなく、科学的なメニューでのもの)や合宿によって、フィジカルやフィットネス、アタックやメンタル面、戦術面など鍛えてきました。今年に入ってからは4月から宮崎での長期間の合宿をこなしており、それを乗り越えて、南アフリカ代表戦の歴史的勝利やW杯3勝を成し遂げたわけです。
これらの合宿は、W杯メンバーである31名だけでなく、それ以外のメンバーも一緒に参加していました。というわけで、今回はW杯メンバーには選出されなかったものの、日本代表としてともに合宿をしてきた選手達にスポットを当ててみたいと思います。
日本代表バックアップメンバー
今回の日本代表メンバーにはバックアップメンバーが選ばれています。バックアップメンバーとは、大会中にけが人が出た場合に、代替する選手のことです。W杯期間中はW杯メンバーには帯同しませんが、何かあったときはすぐに現地に向かう選手となります。
今回のバックアップメンバーは日本代表の合宿に参加していたメンバーであり、その多くは4月に始まった合宿の序盤から参加していたメンバーになります。
名前 | 所属チーム | 出身校 | 身長 | 体重 | 生年月日 |
---|---|---|---|---|---|
有田 隆平 | コカ・コーラレッドスパークス | 早稲田大学 | 176 | 100 | 1989/3/21 |
宇佐美 和彦 | キヤノンイーグルス | 立命館大学 | 197 | 111 | 1992/3/17 |
垣永 真之介 | サントリーサンゴリアス | 早稲田大学 | 180 | 114 | 1991/12/19 |
長江 有祐 | 豊田自動織機シャトルズ | 京都産業大学 | 171 | 107 | 1985/7/19 |
平島 久照 | 神戸製鋼コベルコスティーラーズ | 福岡大学 | 180 | 110 | 1983/1/15 |
ヘイデン・ホップグッド | – | シャーリーボーイズ高校 | 190 | 105 | 1980/7/30 |
ホラニ 龍シオアペラトゥー | パナソニック ワイルドナイツ | 埼玉工業大学 | 187 | 115 | 1982/12/29 |
村田 毅 | NECグリーンロケッツ | 慶応義塾大学 | 185 | 103 | 1988/12/15 |
渡邉 隆之 | 東海大学 | 札幌山の手高校 | 180 | 120 | 1994/5/27 |
内田 啓介 | パナソニック ワイルドナイツ | 筑波大学 | 177 | 85 | 1992/2/22 |
ティム・ベネット | キヤノンイーグルス | ペナントヒルズ高校 | 185 | 90 | 1990/8/1 |
矢富 勇毅 | ヤマハ発動機ジュビロ | 早稲田大学 | 176 | 82 | 1985/2/16 |
山中 亮平 | 神戸製鋼コベルコスティーラーズ | 早稲田大学 | 188 | 93 | 1988/6/22 |
彼らも最後の最後まで日本代表としてW杯を目指していた選手たちです。そして合宿では早朝からの厳しいトレーニングを経験してきた選手たちでもあります。
彼らの中には、けがで代表入りができなかった選手や最後の最後の選手枠を争って結果的にそこに入れなかった選手もいます。では個別に選手紹介していきます。
個別選手紹介
有田選手はHO(フッカー)として力強い突破力のある選手です。今回は怪我をしてしまったため途中で合宿を離脱。結果的に代表メンバーからも外れることになりました。福岡を拠点とするコカ・コーラレッドスパークスに所属しています。
宇佐美選手は現在24歳の若手LO(ロック)。特にLO陣はベテランが多い中で若手の有望選手として合宿に参加。最後の最後までメンバー入りを目指したものの最終発表で外れることになりました。所属は町田にあるキヤノンイーグルスになります。次回大会では核となってほしい選手です。
垣永選手はPR(プロップ)で3番をメインにしています。こちらも若手で最後までメンバー入りを争ったものの残念ながら代表メンバーには入れず。こちらも2019年W杯では中心選手となりそうな選手です。
長江選手もPR(プロップ)の選手。トップリーグの中でもスクラムでの強さに定評がある選手です。こちらも怪我のために代表メンバーから外れることになりました。所属は地元でもある愛知県の豊田自動織機シャトルズになります。
平島選手もPR(プロップ)の選手。エディ・ジョーンズHCも本来なら選びたかったと述べた選手ですが、怪我のため不選出となりました。PRの選手が4人と、他国よりも少ないのは彼の怪我が影響しています。所属は神戸製鋼コベルコスティーラーズです。
ホラニ龍シオアペラトゥー選手もPRの選手。NO.8で出場したホラニ龍コリニアシ選手の弟になります。兄弟での出場を目指していましたが、彼も怪我の影響もあってメンバー入りはできませんでした。群馬県太田市にあるパナソニックワイルドナイツ所属の選手です。
村田選手はFL(フランカー)の選手。現代ラグビーではより力強さと突破力が求められるバックロー(FL/NO.8)の中で唯一の日本人選手としてフィジカル・フィットネスともに大きく向上した選手です。所属は千葉を本拠地とするNECグリーンロケッツとなります。
渡邊選手はPRの選手。PR陣にけが人が増えたことで急きょ代表に呼ばれた選手です。本来は3番でしたが、代表では1番として活躍しました。こちらも2019年には代表としてW杯に出場してほしい選手です。所属は東海大となります。
内田選手はSH(スクラムハーフ)の選手。こちらも若手の選手です。代表では第三のSHとして活躍したのと同時に、直前にはWTBとしても試合に出場し、ユーティリティー性も確認していました。内田選手も2019年は代表選手として活躍が期待されます。所属はパナソニックワイルドナイツです。
ティム・ベネット選手はCTBの選手。今年の6月で3年居住となり、代表資格を得ました。縦への鋭い突破とスピードが持ち味で代表合宿に選出され、キャップも獲得。しかしながら代表には不選出となりました。所属はキヤノンイーグルスになります。
矢富選手はSHの選手。2007年W杯にも出場しており、怪我に悩まされるシーズンが多かったものの、昨シーズンからは怪我もなく、良い状態が続いていました。所属は磐田市が本拠地のヤマハ発動機ジュビロになります。
山中選手はSO/CTBの選手。大型SO/CTBの選手でパス能力が高く、キック力もある選手です。代表として選ばれる機会も増えてきましたが、W杯メンバーには選ばれず。所属は神戸製鋼コベルコスティーラーズになります。
そして最後が、ヘイデン・ホップグッド選手。FL/NO.8の選手として、日本代表に選ばれると、突破力と体を張ったタックルやボールキャリーが魅力の選手です。彼は昨年まで釜石シーウェイブスに所属していたものの、退団。4月以降は無所属のまま代表合宿に参加していた選手です。最後の国内の試合、ウルグアイ戦にも出場しましたが、その時にはすでにW杯メンバーに不選出であることは告げられていました。それでもなお日本代表のために体を張ってくれた選手です。
終わりに
ラグビーというのは1人でできるスポーツではありません。フィールド上には15人がそれぞれの役割を果たし、規律を守ることで初めて試合ができます。また日本代表はW杯のメンバーは31人いましたが、試合に出ていない選手も含めて1つのチームとなっていたと思います。
そして、付け加えると、今回紹介した31人からは漏れてしまったけれども代表候補としてW杯まで合宿参加し、テストマッチを戦ってきた選手も日本代表を支えてきたメンバーだと思います。彼らのことを知らない人も多いかもしれませんが、日本代表31人と同じように、是非彼らもラグビー日本代表を支えた一員としてファンが応援すべき選手たちかと思います。
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