ラグビーというのはルールが難しいスポーツだと思われています。実際に簡単じゃないと思うことも多いですし、最近になってやっと理解できたなんてルールもあります。(むしろ、現時点でも完璧に理解しているとも思っていません。)
それほど奥が深いスポーツともいえるかと思います。
では、ルールを理解していないと楽しめないかというとそんなことはないと思います。スポーツ全般にいえそうですが、もちろん最低限のルールは覚えておいたほうがよいでしょう。
ラグビーでいえば、下記の点くらいは理解しておいた方がよいかと思います。
- ラグビーは陣取りスポーツである
- ボールを前に投げてはいけない(スローフォワードという反則)
- ボールを前に落としてはいけない(ノックオンという反則)
- ボールを前に蹴るのはOK
その他、もっとルールが気になる方は下記もご参考にしてください。
逆に言えば、これくらい知っておけば十分にラグビーは楽しめるスポーツであると言えるでしょう。
純粋に盛り上がるとは
その一方で、ルールは知っていてもいまいち盛り上がりに欠けるということもラグビーではあるような気がしてなりません。
どことなくラグビー場に集まっている人を見ると、何十年とラグビー観戦してきた方や、いかにもラグビーをやっていましたという人たちが多いように見えて、一見さんが入りにくい雰囲気を醸し出しているような感覚に陥るときがあります。
本来ならスポーツ観戦は、どこで何を見ようと自由なわけで、ラグビーでいえば華麗なパス回しが好きな人もいれば、激しいぶつかり合いが好きな人もいます。
またラグビーというスポーツそのものから離れて、選手個人が好きだから見ているというのも十分ラグビー観戦の動機になるかと思います。(女性ファンにはむしろこういった選手から入る形の方が多いのかもしれません。)
ラグビー観戦は静かに見るのが美徳のような風潮もあり、そういったスタイルが盛り上がりにくい要因となっているのかなという気もします。
基本的にラグビーではプレースキック時には静かにするのがマナーとなっていますが、それ以外では必ずしも静かにしないといけないということはないと思っています。(また、海外の試合ですと、プレースキック時にブーイングされることもあります。が、やはりブーイングは控え、キック時は静かに、というのが良いかと思います。)
いずれにしても、どうも日本人は周りを気にするのか、純粋に盛り上がるということに気がひける人が多いように感じますし、特に集団でないと盛り上がれないように感じます。
そのためか、ラグビーは純粋に盛り上がるのではなく、静かにじっくりと理解して、玄人のように落ち着いてみるものとなっている節もあります。
もちろんそういったそういった見方がだめなのではなく、それも良しとしつつ、もう少し純粋に楽しむという土壌もないと、一般化しにくいのかなとも思ってしまいます。
では、純粋に楽しむとはどういうことになるでしょうか?
これについては明確な答えがあるわけではないですが、こんな風に楽しんでいるという人たちを紹介してみたいと思います。
フィジー応援団~東京セブンズより~
まずこの人たち純粋に楽しんでいるよな、と最初に思いついたのが、セブンズでのフィジー応援団の方たちです。
毎年開催されていた東京セブンズでももうお馴染みの方々と言っていいでしょう。
元々陽気な方たちが多いというのもありますが、フィジーの試合が始まると、国旗を振ったり、踊りながら、音楽とともに「Go!Fiji,Go!」の大合唱となります。
もちろんトライを奪えばさらに盛り上がるのがフィジー応援団の方々。国民性もあるのかもしれないですが、彼らを見ていると、本当に純粋に盛り上がっているなと感じます。
東京セブンズでは他にも外国人の方々が多く来ていらっしゃっていて、彼らの盛り上がり方というのは、参考になる部分が多いと思います。
人の目を気にすることなく、自由に盛り上がる感じで、それが逆にこちらが見ていても気持ちの良いものにつながる。
日本人だと誰かがリードしてそれに合わせてみんなが続くという形での応援となってしまいがちなのですが、そういった強制的な部分がなく、自然と盛り上がるというのが素晴らしいなと思います。これこそ、純粋に盛り上がっていると感じた応援でした。
高校ラガーマンのお母さん~選抜高校ラグビーより~
こういう自然に盛り上がるというのは日本人には中々出来そうにないと思っていましたが、そんなこともないなというも感じました。それは東京セブンズ前日に高校選抜ラグビーに行ってきたときのことです。
高校ラグビーを見に行くと、観客は高校生が増えるのもさることながら、保護者の方の観戦が多いことに気づきます。そんな保護者の方々を見ていると、けっこう面白く感じることも多いです。
特にお母さんたちを見ていると、色々と気づかされる部分も多いです。彼女たちにとってはやはりラグビーはルールが難しいと感じている人も多いのでしょう。また、戦術面もよくわかっていない人も多いと思います。
それでもわが子やその友達が頑張っている姿を応援したいという思いは人一倍強いので、声援はとても大きくなります。
その結果、お母さんたちが発する言葉はとても単純なものになります。
「いけー」
「走れー」
「押せー」
「立てー」
「戻れー」
上記のような単純な言葉を何度も繰り返し、声援を送るのがお母さんたちのスタイルです。
聞いていると微笑ましくなるくらい単純ではありますが、ふと思うと、これも純粋に盛り上がっているなと感じました。
おそらくラグビーのことはそこまで理解はしていない、そこまで詳しいルールはよくわからないにもかかわらず、ここまで声援を送れるというのもすごいことです。
子どもたちに頑張ってほしい、勝ってほしいという思いから発せられる言葉は、まさに純粋に盛り上がっているというのがぴったりなのではないかと思いました。
(ちなみに保護者でもお父さんになると、こういった声援をすることはあまりなくなります。どちらかというと、静かに見たり、ビデオ撮影にまわることも多いようです笑。この辺は男女差もあるような気がしています。)
2種類の応援団から見えること
フィジー応援団にしても、お母さんたちの応援にしても、どちらも純粋に盛り上がることができているなと感じました。そして、どちらにも共通点があるような気がします。
それは、周りの目を気にしていないこと、単純な言葉を発していること、難しいことは考えないことかなと思います。
純粋に盛り上がるとはこういった形で楽しむことなのかなと思います。最低限のルールがわかりさえすれば、本来このように純粋に楽しむことができるはずなのがスポーツの良いところなのかなと思います。
フィジー応援団とお母さん応援団は一見するとまったく違うように見えますが、ルールや戦術関係なく盛り上がるというのは共通点ではないかと思いました。2日間でまったく別のスタイルのように見えて、実は同じような単純な盛り上がりができているのではと。
ラグビーはどうしても静かに見たり、解説者になったように見たり、と玄人のような形で見るスタイルしか提供できていないような気がしています。でも2つの応援団は、玄人ぶることもなく、純粋に楽しんで盛り上がることができています。こういったスタイルもあるんだよというのを、ラグビーでも出していく必要があるような気がしています。
ラグビーは、「Go!Fiji,Go!」でも「いけー」、「押せー」でも十分盛り上がれるスポーツだということを広めていくのはどうでしょうか。
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