セブンズはラグビー界の救世主になり得るか?

コラム
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ラグビーといえば、日本ではラグビーユニオンの15人制を指すことがほとんどです。

その一方でここ数年、日本ではセブンズの大会も多くなってきました。今年まで開催されていた東京セブンズもそうですが、関西セブンズなど地方での大会、東日本大学セブンズなどの学生の大会も開催されています。また、高校での全国高校7人制ラグビー大会が始まり、また女子では太陽生命ウィメンズセブンズシリーズがシリーズとして開催されるようになりました。

ここにきて、セブンズの大会は各カテゴリーで増えています。15人制と比べると裾野が広がっていると感じています。課題も多い日本ラグビー界において、セブンズが救世主になるのか考えてみました。

セブンズはラグビー界の救世主になり得るか?

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観客動員面

まずはなんといってもセブンズがラグビーの人気の面で貢献しうるかというのを考えてみます。

現状

現状を考えると、セブンズがラグビー人気に貢献しているとまでは言えないでしょう。確かにセブンズの大会は増えましたが、その大会が多くの観客で溢れているという形になっているわけではありません。むしろ、現状は大会が各カテゴリーに出来始めた、という段階です。

また、東京セブンズを観ても、過去天候が悪かった日が多かったとはいえ、集客的には良くない日が多かったです。セブンズシリーズを見ても他のシリーズでも観客がそれほど多くない大会もあるとはいえ、ラスベガスや香港など、ラグビー大国ではない国で盛り上がっているのを見ると、寂しい状況でした。

これらの状況をふまえても現状はセブンズ人気はまだまだだと思います。

今後

それでは今後はセブンズの人気がラグビー界に大きく貢献することができるようになるでしょうか。

可能性は大いにあると思います。何といっても、2016年リオ五輪からセブンズが正式種目に採用されました。各カテゴリーで大会が増えたのも、このオリンピックでの正式種目採用があったからだと思います。

日本人はオリンピック好きな人も多く、普段はスポーツを観なくても、オリンピックだけは見るという人も多いと思います。実際にオリンピック期間中はオリンピックの話題をすることが多いです。そういった事情をふまえると、五輪で人気が一気に爆発する可能性もあり得るかと思います。

とはいえ、単純にオリンピックがあるだけで人気が出るほど単純ではないかと思います。ラグビー人気に貢献するにはそれなりの条件が必要になってくるかと思います。

条件① オリンピック出場

まずはそもそも論ですが、やはりオリンピック出場することが大事になってくるでしょう。さすがに日本が出場できていないのに、そこから人気が出るというのは厳しいと思います。日本のオリンピック出場は最低限必要になるでしょう。

オリンピックの出場枠は全部で12チーム。出場には、セブンズワールドシリーズでの上位4ヵ国・アジア予選で優勝・世界最終予選で優勝の3つの方法がありますが、基本的には男女ともアジア予選で勝利し、出場を目指すことになるかと思います。五輪に向けてはアジア予選が大きな目標になるかと思いますので、なんとかここでオリンピック出場を決めるのが大事ですね。

条件② 日本の活躍

また出場するだけで、盛り上がりが作れるかというとそれは違うと思います。国内での盛り上がりを作り上げるには、ある程度の成績を残すことが求められてくるかと思います。ある程度の成績とはどのくらいの成績なのかは難しいところですが、メダル獲得またはメダルは獲得できなくても、それに近い成績が望ましいと思います。

オリンピックの試合形式がまだ決まっていないので何とも言えないですが、おそらく1日目が予選リーグ、2日目が決勝トーナメント(順位決定戦)という形になるのではと思います。男女とも厳しい試合が続くと思いますが、何とか上位に行けるように頑張ってもらいたいところです。

条件③ その他の要因

さて、日本が出場し、上位進出する、例えばメダル獲得したらそのまま、いっきに人気が高まるでしょうか。実はそう簡単ではないかと思います。日本が五輪に出ること、日本が活躍することは必要ではあるかと思いますが、それだけでは厳しいと思います。

人気が出るためには、テレビ・マスコミなどに注目して放送される必要もあります。もちろん勝てばある程度の取り上げ方はされると思いますが、それだけだと弱い部分もあるかと思います。女子サッカーなどを見ても、もちろんW杯で優勝したというのはとても大きなことで、これが一番大きい要因かとは思いますが、それ以外にも、選手がバイトしながら選手としてトレーニングしていたとか、不遇の時代も負けずに頑張っていた、というように、人気が出るにはその他のストーリーも必要になるかと思います。

そういう意味ではこれまで選手も少なく、土壌に恵まれなかった女子の方がチャンスは大きいかなと個人的には思っています。

条件④ 国内での観戦機会

その上で観戦機会があるかどうかも大事になってくるかと思います。国内で大会が開催されない、あるいは少ないとなると、観戦する機会がなくなり、オリンピックの時だけ見る競技になってしまうことにもなります。そういう意味では、五輪に向けて大会が増えつつあるのは良いことかと思います。

人気面でいえば・・・

人気面でいえば、セブンズが五輪で活躍すれば今よりは人気も上がってくるのは間違いないかと思います。が、それには種々の条件が必要になるかと思います。単純に強くなったらそれで人気も出るという風に簡単には言えないかと思います。とはいいつつも、やはりまずはオリンピックに出場し、活躍することから始まるとは思うので、強くなるのは重要ですね。

競技普及の面

さて、人気面にも効果はあるかと思いますが、個人的にはセブンズの普及は競技人口面、特に中学から高校にかけての競技人口増加に向けて、より大きな効果があるのではないかと思っています。

高校ラグビー出場校

まず確認しておきたいのが高校ラグビーの出場校についてです。高校ラグビーの出場校です。全国高校ラグビー大会の出場校数は年々減少していっています。1991年度の第71回大会には1490校が出場していたのですが、2014年度の第94回大会には786校まで減少しています。全盛期からすると半減近くまで減ってきてしまっています。

少子化の影響?

高校ラグビー出場校の減少には様々な要因があります。もちろん、少子化というのも要因の1つだと思います。ただ、この間に他のスポーツが大きく出場校が減少しているかと言われればそうではないと思います。そう考えると、ラグビーというスポーツ自体をする高校生が減少していると言えます。

ラグビー人気ということが良く言われますが、観客動員やファンが少ないということよりも、この競技人口が少ないことの方が大きな問題のようにも感じます。

セブンズが救世主になる理由

そこで、セブンズがなぜ救世主となり得るのでしょうか。個人的には7人というのが大きいと思います。ラグビーは15人でやるものだとすると、当たり前ですが15人を集めないと試合ができません。その他の団体競技と比べても、この15人というのはかなり多い人数です。日本で人気を二分してるサッカーで11人、野球ですら9人です。その他のスポーツでいえば、バレーが6人、バスケットに至っては5人いれば試合ができます。この人数の少なさは大きいと個人的には思っています。

高校3学年でいえば、サッカーは1学年4人、野球は3人、バレー・バスケなら2人集めればとりあえずは試合ができます。

3年生が引退後のことを考えても、サッカーは6人、野球は5人、バレー・バスケは3人いれば試合ができるのです。

それに比べて、ラグビーは最低1学年5人必要です。また3年生引退後を考えると、8人は1学年にいないといけません。この人数を集めないといけないというのはけっこう大変です。

また、ラグビーの場合、怪我が多いスポーツでもありますし、練習のことを考えると、もっと人数がほしいところでしょうが、最低でもその人数を集めないと試合ができないことになってしまうのです。

高校で部活をやるのに試合ができないというのは、辛いです。試合に向けて練習をするわけであって、試合がないと目標も見出しずらくなるかと思います。

そう考えると、7人集まればラグビーが出来るというのは、高校生にとても大きな魅力になるのではないかと思っています。

4月は多くの高校で部員集めをする季節です。仮に現時点で部員5人だとして、試合をするために最低10人を集めないと、というのと、なんとか2人を集めようというのでは大変さも異なってきます。

7人で出来るというのは大きなメリットになるのではないでしょうか。

もちろん、指導はどうするのかなど課題もあるかとは思いますが、高校生の競技人口を考えると、7人制はラグビーの普及に好影響を与えるのではないかと思います。

最後に

ラグビーの人気と競技の普及という両面で見ると、個人的には普及面でセブンズが広まってほしいというのがあります。もちろん人気面でも7人制は大きな影響力を持っているとは思いますが、安易にオリンピックで活躍すればと単純に考えるのも違うかと思います。とはいえ、オリンピックがあることで、より注目度が高まり、そこで活躍することはとてもは大事なことです。

またそのためにも、セブンズの普及に努めていくことも大事になってきます。

セブンズの大会が増える、各カテゴリーでセブンズを行う選手が増えることはラグビー界全体にとって良い影響があると思います。ファンの増加も普及も含めて、セブンズは可能性の大きな種目だと思うので、個人レベルでももっと広めていかなくては、と感じています。

 

 

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