五郎丸選手の怪我に見るラグビーの安全性の考え方

スーパーラグビーでついに日本代表チームであるサンウルブズと五郎丸選手・ツイ選手が所属するレッズとの対戦が行われました。結果は35-25でレッズが勝利。サンウルブズは惜しくも2勝目はならなかった試合となりました。

そしてこの試合では残念なニュースも。下記にあるように、五郎丸選手がトライを取ろうとするリアキ・モリ選手に体当たりをしたところで、肩を痛めて手術することになりました。

五郎丸、来週手術でレッズ残り試合絶望的… 6月の日本代表不参加へ

これにより、スーパーラグビーの残り試合ももちろん6月の日本代表戦への出場も厳しくなりました。残念なニュースではありますが、まずは早く治してまた元気な姿を見せてもらいたいと思います。

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実際の場面

さて、では問題の場面を動画で見てみましょう。

上記の中の3:00〜あたりが問題のシーンとなります。左隅にボールをおさえようとするサンウルブズのリアキ・モリ選手に対して、五郎丸選手がぶつかっていくシーンです。

このプレーで肩を痛めた五郎丸選手は交代。ピッチを出ることになりました。

これは体当たりであってタックルではない

さて、ここからが本題です。この五郎丸選手のシーンですが、これはタックルではありません。体当たりまたはショルダーチャージです。もし、タックルという言葉を使うならノーバインドタックルというラグビーでは危険なプレーとされているタックルになります。これはイエローカードが出されても不思議ではないプレーです。(なお、ラグビーではイエローカードが出されるとシンビンといって、10分間一時的退場となります。その間は1人少ない状態で試合を行います。)

タックルをする場合には、必ずバインドしないといけません。バインドとは相手を腕で抱え込むことです。バインドをしないタックルはノーバインドタックルとなり、ペナルティとなります。

ラグビーをしていた人からすると、「あれは真似してはいけないプレー」ということになります。ニュースなどでこの場面が流れる際に、普通にタックルとして流れることがありますが、これは危険なプレーなので絶対にやってはいけないことです。

五郎丸選手本人が意図してやったのか、結果的にこうなってしまったのかはわかりません。(おそらく後者だとは思いますが。)ただ、どちらであろうとやってはいけないプレーであることに違いないので、これを普通のプレーと感じてしまうような放送などはやめてほしいと思います。

ラグビーにおける安全性の考え方

もう少し別の角度から見ていきましょう。そもそもラグビーというのは安全なスポーツなのでしょうか。

初めてラグビーを見る方でもわかるように、ラグビーは接触が当たり前のスポーツです。そのため、他のスポーツよりは危険性が高いスポーツと言えるでしょう。怪我をする可能性も他スポーツに比べると高く、命に関わる危険性もあります。肉体的接触があるスポーツでありながらしっかりとした防具をつけていないというのもあるかもしれません。

いずれにしても危険性は高いスポーツであることは間違いないでしょう。ただし、だからこそ、安全にプレーできるようにする、というのを大前提としておかなければいけないのもラグビーの特徴です。

ラグビーの安全性〜初心者はまずは安全に〜

例えば、ラグビーを始めた初心者の人はまずこの安全性というのを十分意識することが大事です。特に怪我が起こりやすいのが接触する場面です。そのため、タックルをする、あるいはタックルを受けるという部分について、初心者は必ずと言っていい程練習します。これがしっかりできなければ、タックルする側もタックルを受ける側も怪我をする恐れがあるからです。

また、初心者の人をすぐに試合に出すことはありません。春の時期はラグビー未経験の新入生が入部してくる時期ですが、いきなり試合に出すことはできません。試合はできても、安全にプレーをすることはできないからです。

ラグビーの安全性〜危険なプレーは厳格に反則にする〜

また、ラグビーの安全面への配慮はルールにも見てとれます。ラグビーのルールは毎年のように変更されていきますが、その変更ポイントの1つがラグビーの危険性を排除する、という原則に従っています。

例えば、かつては相手の足を持ち上げて地面に叩き付けるようなタックルは、好タックルとされていました。ただ、今では危険なタックルとなって、ペナルティで、イエローカードが出されることもあります。

また、かつてはスクラム時は、「クラウチ・タッチ・ポーズ・エンゲージ」というコールでスクラムを組んでいました。ですが今は「クラウチ・バインド・セット」と変わっています。これはコールが変わっただけではありません。かつては、エンゲージのコールの際に相手に飛び込むようにぶつかっていったのですが、これが危険だということで、相手と組み合ってから(バインドしてから)ぶつかる形に変更しました。これも安全面を考えたルール変更です。

このようにラグビーでは安全面に考慮したルールを作っていきます。

ラグビーの安全性〜脳震盪への対応〜

ラグビーだけではないですが、スポーツをやる上で危険性が高いのが脳震盪です。ラグビーでは試合中に脳震盪の疑いがある場合は、すぐに脳震盪チェックを行います。試合中であってもレフリーは試合を止めて、その場でドクターを読んでチェックさせます。W杯以降ではさらに別室にて詳細のチェックをしてから、問題なければピッチに戻すという形になりました。また、もし脳震盪と診断されれば、その試合はもちろん3週間は試合に出ていけないことになります。

脳震盪は、命に関わるとても重要なものであり、ラグビーではその可能性があるので、とにかく安全第一に進めていく必要があります。

ラグビーは危険が伴うからこそ安全に十分配慮しないといけない

このように、ラグビーでは接触のあるスポーツゆえに危険な場面というのがたくさんあります。だからこそ、プレイヤー、レフリーや試合を主催する人は危険性を排除していく必要があります。これは誰かがやればいいものではなくて、全ての人が気をつけなければならないものです。もちろん、必死にやっていく中で、思わず危険なプレーが出てしまうこともあるでしょう。その場合は、まずレフリーがしっかりと注意し、そしてその後でチームとしても注意していかなければいけません。

そして周りの人もそれを許してしまうのはよくないです。今回の件でいえば、五郎丸選手の体当たりは、危険なプレーであり、許されないものです。これは下手とか上手とかスキルがある・なしというレベルの話ではなく、ラグビーの根幹に関わるものです。

危険なプレーはどんなときもするべきではないですし、もしこういうのを真似しようとする子どもたちがいれば、しっかりと注意してやめさせないといけません。

一部報道を見ていると、反則覚悟でぶつかっていった、とか、必死のタックルで怪我をした、とありますが、こういった扱いはダメです。マスコミとしても危険なプレーなので、あれはやってはいけない、というのをしっかりと広めていく必要があると思います。

ラグビーは何もなく、無秩序にやってしまえば、本当に危険なスポーツとなります。だから、しっかりとルールを遵守する、自分の身を守り、相手の身も守るための基本的なプレーを練習する、ダメなプレーはしっかりと注意して起きないようにする、こういったことが必要となってきます。

安全にプレーできるようにしないと、ラグビーは成り立たなくなります。それがラグビーをやる大前提なのを理解していただきたいと思います。

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