ヤマハ、会心の勝利で決勝へ~LIXIL CUP2015セミファイナル~

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予想外

神戸製鋼×12-41◯ヤマハ発動機

こう言っては失礼にあたりますが、予想外の点差となったというのが第一印象でした。

それほどにヤマハ発動機が快勝したゲームであったと思います。

今年の神戸製鋼は一味違う。

実際に、1stステージでは6勝1分の負けなしで1位通過すると、2ndステージでは5勝2敗で5チームが並ぶも勝ち点の差で神戸製鋼が1位でセミファイナルへと進みました。

今年の一番の成長はまずディフェンスの部分。しっかりと前に出てプレッシャーをかけていたのと、近場でもプレッシャーをかけ続けて相手の攻撃を見事に封じていました。

実際に2ndステージの失点113はグループAで最少の数字でした。

それだけ安定していた守りが破綻してしまった試合ということでしょう。

 

対するヤマハは会心の勝利でした。

2ndステージでは40-10と完敗した相手に序盤から相手陣でボールキープする理想的な展開に。

試合の流れとしては前半4分のファーストスクラムでヤマハが組み勝った(神戸製鋼のスクラムコラプシング)のも大きいと思います。これでヤマハFW陣が「いける!」と感じたことものっていけた理由の1つだと思います。

 

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流れを掴むということ

ラグビーにおいて流れを掴むというのは大事なことです。試合においてどのタイミングで得点するか、いかに自らのペースで進めていくかというのが試合の中で、大きな意味を持つかと思います。

そういった意味では、ヤマハはうまく流れをつかんで試合を優位に進めたと思います。

序盤、ヤマハはミスもありました。

ファーストスクラム後のペナルティはショットを狙わずにタッチキックからトライを狙いにいきます。ただしこれは結局トライを奪えずに最初の10分は押し気味に進めたにもかかわらず得点を奪うことはできませんでした。

その中でヤマハとしてラッキーだったのは前半12分に相手ラインアウトのミスをそのままSH矢富選手がキャッチしトライ。ゴールも決まって7-0と先制できました。このまま無得点が続くと嫌な感じが残ったことでしょう。

 

また、神戸製鋼からしても流れを掴むチャンスはありました。14-0とリードされた前半25分にゴール正面からのPG。しかし、これを外してしまいます。こういったミスは後々効いてくるもの。この試合でもキックの差というのは徐々に効いてきたかと思います。

このままずるずるとヤマハペースになるかと思われた前半32分。神戸製鋼がワンチャンスをものにします。

神戸製鋼が自陣からキックしたボールをヤマハFB五郎丸選手が自陣22mライン内からキックしたところを神戸製鋼WTB山下選手がチャージ。こぼれたボールを再度山下選手が拾って、FB正面選手がトライで14-5とします。

神戸製鋼が躍進した理由として基本をしっかりとする、というのあるかと思います。その一つがキックへのチェイス。昨年まではキックチェイスができていない場面も多々あり、キックが有効に機能していない場面もありました。が、今年はしっかりとチェイスすることができています。その良い部分が出たのと、山下選手のトライへの嗅覚というのでしょうか。バウンドもうまく跳ねてくれてトライに結びつきました。

 

試合展開としてはこれで神戸製鋼が盛り返すかというところで、ヤマハが再度流れを取り戻すことになります。相手の倒れ込みで得た、ハーフウェーライン中央付近からPGを狙った五郎丸選手が見事PG成功。これで17-5と引き離します。神戸がPGとコンバージョンを外したのに対し、ヤマハは前半3つのゴールを全て決めたこと。

やはりキックの差は後々ジワジワと効いてきます。


 

12点差で始まった後半も最初にトライを取ったのはヤマハ。相手のペナルティからタッチキックでラインアウト。

このラインアウトをサインプレーでHO日野選手が左隅にトライ。後半早々にスコアしたのは大きく流れを掴むプレーだったと思います。

この時点で17点差に。ヤマハとしては残り時間を考えてもかなり有利な点差になってきました。

神戸としては早めに得点したいところで、後半17分、得意のラインアウトからモールで押し込み、アドバンテージをもらいます。SO山中選手キックしたボールがCTB山本選手に入って中央にトライ。神戸としては簡単にトライを取り、ヤマハとしては簡単にトライを取られて残り20分以上。

これで神戸にもチャンスが出てきたところですが、この試合のヤマハは流れを渡さず。

後半20分に相手陣でのスクラムから10、13、14と左に展開し、ラック。再びすぐに右サイドに展開。中央で12マレサウ選手から左サイド2番→5番クリシュナン選手のトライで29-12と差を広げます。この日のヤマハは失点後にすぐに得点し、相手に流れを渡しそうな場面で確実に得点し、相手に流れを渡しませんでした。

ヤマハはその後も34分、38分とトライを決めて41-12と勝利。

相手に流れが行きそうな場面ですぐに流れを取り戻したヤマハが快勝しました。

 

 

神戸は前に出れず

最初にも書きましたが、神戸はディフェンスで前に出てのプレッシャーというのが今シーズン機能していたのに対し、今回は相手を見てしまい、ヤマハに前に出られてしまった印象です。

これについては2点影響があったかと思います。1つはジャック・フーリー選手の不在。フーリー選手の凄いところは攻撃面でもそうですが、ディフェンス時のレンジの広さ、コミュニケーションのうまさ、それと前に出るプレッシャーにあるかと思います。

この試合では特にヤマハのマレサウ選手が狭い場面でのカットインや外に流れてのゲインなど、ボールを持てば前進していましたが、フーリー選手がいたらその前にパスを渡さないようなプレッシャーを与えたり、もっと自由にさせなかったかも、と思わせる試合でした。

もう1つはキックパスという選択肢。ヤマハの大田尾選手は試合序盤から大外にいたクリシュナン選手への裏へのキックパスを多用していました。(最後斉田選手のトライはまさにそのキックパスからでした。)

これにより、神戸は裏へのキックが頭に残った、逆にヤマハは裏へのキックがあることでディフェンスを前に出させなかったとも言えるかと思います。

いずれにしても相手陣でポッドを使って広く展開するヤマハからすれば、かなり自由に攻めることができたのは大きかったと思います。

 

ヤマハのメンバー固定の強み

さて、決勝に進んだヤマハですが、大きな強みがあります。それはメンバーが固定できていること。通常シーズン全体を考えれば、固定メンバーで戦うのは難しいです。が、ヤマハはここにきてメンバーが固定できています。もちろん核となる選手が固定できていることも大きいですが、それ以外の選手も固定できている、怪我で離脱する選手がいないというのは、大きな強みになると思います。

決勝はパナソニック相手。最終節では見事に勝利した相手ですが、その試合ではパナソニックは選手を休ませていたこともあり、決勝はまた違う試合になるでしょう。

果たしてどうなるか、楽しみに待ちましょう!

 

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