ラグビーW杯2015 イングランド大会特集

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日程

2015年9月18日〜2015年10月31日

出場国

出場国
出場回数
備考
イングランド
8大会連続8回目
開催国(前回ベスト8)
ニュージーランド
8大会連続8回目
前回優勝
フランス
8大会連続8回目
前回準優勝
オーストラリア
8大会連続8回目
前回3位
ウェールズ
8大会連続8回目
前回4位
アイルランド
8大会連続8回目
前回ベスト8
アルゼンチン
8大会連続8回目
前回ベスト8
南アフリカ
6大会連続6回目
前回ベスト8
トンガ
6大会連続7回目
前回ベスト12
スコットランド
8大会連続8回目
前回ベスト12
イタリア
8大会連続8回目
前回ベスト12
サモア
7大会連続7回目
前回ベスト12
グルジア
4大会連続4回目
欧州予選1位
ルーマニア
8大会連続8回目
欧州予選2位
フィジー
5大会連続7回目
オセアニア予選1位
ナミビア
5大会連続5回目
アフリカ予選1位
カナダ
8大会連続8回目
アメリカ予選1位
アメリカ
5大会連続7回目
アメリカ予選2位
日本
8大会連続8回目
アジア予選1位
ウルグアイ
3大会ぶり3回目
最終プレーオフ1位

 

大会概要

全20チームが5チームずつ4つのプール(A〜D)に分かれて予選を行う。各プールの上位2チームが決勝トーナメント進出。8チームでトーナメントを行い、優勝チームを決める。

予選プール

各プール総当たりの10試合を行う。(各チーム4試合ずつ)

試合結果によってそれぞれ勝ち点が与えられる。勝ち点が上位の2チームが決勝トーナメント進出となる。勝ち点が同じ場合、当該チームの対戦成績、得失点差、トライ数、総得点の多さ、トライ数の多さで順位を決定する。

それでも順位決定できない場合、2015年10月12日時点での世界ランキング上位のチームが上位となる。

勝ち点

 

結果
勝ち点
備考
勝ち
4
引き分け
2
負け
0
4トライ以上※1
1
ボーナスポイント
7点差以内の敗戦※2
1
ボーナスポイント

※1  勝敗に関わらず、4トライを取れれば勝ち点1が与えられる。試合に勝利して、かつ4トライ以上の場合、勝ち点5が与えられる

※2  7点差以内の場合、敗戦でも勝ち点1が与えられる。7点差以内の敗戦で、4トライ以上奪っている場合は、勝ち点2が与えられる

決勝トーナメント

決勝トーナメントからは負けたら終わりのノックアウト方式となる。80分間or割った時点でのスコアが同点の場合、全後半10分間の延長戦を行う。もし延長戦終了時に同点の場合は10分間のサドンデスを行う。それでも決着がつかない場合、キッキングコンペティションを行う。

各プール紹介

世界ランキングはW杯開始前(2015年9月16日現在)のものです。

プールA

出場国
過去最高順位
世界ランキング
イングランド
優勝(2003)
4位
オーストラリア
優勝(1991,1999)
2位
ウェールズ
3位(1987)
5位
フィジー
ベスト8(1987,2007)
9位
ウルグアイ
予選敗退
19位

プールA見どころ

今大会、一番の激戦区であり、「死のプール」と言われているプールA。過去優勝国が2カ国、決勝トーナメント進出国であり、ランキング10位以内が4カ国集まっており、どの国が2位以内に入るか予想が最も難しいグループとなっている。

開催国イングランドは、今年のシックスネーションズ(欧州6カ国対抗戦)でアイルランドに敗れたものの2位。安定した力を発揮している。クリス・ロブショウ主将を中心とした強力FW陣がチームを引っ張る。SOは若手のジョージ・フォードを起用。ホームの圧倒的な声援も有利に働くと予想されるが、初戦のフィジー戦で波に乗りたい。

オーストラリアはここ数年やや低迷していたように感じたものの、今年に入っては好調。直前のラグビーチャンピオンシップ(南半球4カ国対抗戦)ではNZ、南アフリカと倒し、3連勝で優勝となった。マイケル・チェイカ ヘッドコーチのもと、チームは上昇傾向にある。注目は大会後にNTTドコモに加入が決定しているFBイズラエル・フォラウ。ハイパントへの強さは圧倒的で、そこから見せるランも魅力的。オーストラリアも初戦はフィジー戦となる。

この2カ国に対抗するのがウェールズではあるが、こちらは逆に直前にけが人が続出。直前のイタリア戦で、SHのリース・ウェッブとFBリー・ハーフペニーの怪我のため、メンバーから外れることになった。特に痛いのがFBリー・ハーフペニー。世界的スーパースターのW杯欠場は、ウェールズだけではなく、多くのラグビーファンが悲しむこととなった。が、組織化されたディフェンスで耐えて、好機を生かしていきたい。

この3カ国に対抗するのがフィジー。過去には2回ベスト8進出経験もあり、W杯メンバーの多くが海外で活躍する選手で構成されている。2007年には今大会でも同じプールとなるウェールズ代表を撃破し、ベスト8進出を果たしている。注目はトップリーグ・スーパーラグビーでも活躍のWTBネマニ・ナドロ。波に乗れば、無類の強さを発揮するパシフィック・アイランダーがこの「死のプール」をどう戦うのか、注目である。

これら強豪と対するウルグアイは最終プレーオフを勝ち抜いてW杯最後の1枠を勝ち取った。直前の日本代表との試合は連敗。メンバーもアマチュア中心で、この「死のグループ」で勝利するのは厳しいが、強豪にくらいついていく姿を見せてほしい。

順当にいけば、イングランド・オーストラリアが決勝トーナメント進出となりそうだが、全勝チームは生まれず、勝ち点勝負になる可能性も高い。イングランド・オーストラリア・ウェールズの3か国は該当する当事者との対戦ももちろん大事だが、フィジーとの対戦も大きなポイントなりそう。特に開幕戦のイングランドvsフィジーでどのような試合が行われるか注目したい。フィジーが開幕戦に勝つようなことがあれば、プールAはどこが勝ち抜けるか分からなくなる。

プールB

出場国
過去最高順位
世界ランキング
南アフリカ
優勝(1995,2007)
3位
スコットランド
4位(1991)
10位
サモア
ベスト8(1991,1995)
12位
日本
予選敗退
13位
アメリカ
予選敗退
15位

 

プールB見どころ

日本代表が属するプールB。世界ランクが示すように、南アフリカが頭一つ抜け出しており、これに続く2位争いがどうなるかが大きなポイントとなる。

南アフリカはこのプール1位通過は確実とみられる。陣容を見ても、経験豊富なLOマットフィールド、主将も務めるCTBデヴィリアーズ、WTBブライアン・ハバナなど100キャップを超える選手から、若き司令塔SOのハンドレ・ポワードとベテラン・若手入り混じった構成に。予選プールは決勝トーナメントを見据え、多くの選手を使いながらの戦いとなるだろう。

これに続くのはスコットランド。前回W杯で初めて予選敗退となり、今大会は再度ベスト8を目指す大会となる。シックスネーションズではホームでイタリアに敗れるなど、全敗で終わってしまったものの、直前のイタリア戦は快勝、フランス戦も16-19で敗れたものの善戦するなどここにきて調子をあげてきている。前回まではPGしか得点を奪えないイメージだったが、今大会はイメージを払しょくする大会になるだろう。

これに次ぐのがサモア代表。7月にホームで対戦したNZと16-25、直前のバーバリアンズ戦も24-27と惜しくも敗れたものの、チームは好調をキープしている。多くの選手が欧州または日本と海外でプレーしており、総キャップ数は少ないものの経験豊富なメンバーがそろった。パワフルな突破とBK陣のステップは相手にとって脅威となるだろう。

このプールに属した日本は、世界的な評価でいえば4番手という認識をされている。ただし前回に比べて大きくレベルアップしているのは間違いない。前回はキックオフボールの処理のまずさ、終盤のフィットネス、セットプレーに課題があったが、改善している。特にセットプレー・フィットネスは日本代表の大きな武器となっている。目標のベスト8に対してはスコットランドとサモアとの対戦にかかっているが、南アフリカにも勝つつもりで戦ってほしい。

アメリカ代表はこの中では最も格下と思われているが、過去のW杯勝利数でいえば日本より多く、日本には2戦2勝している。選手は国内でプレーする選手も多く、世界トップのプレイヤーと対戦する機会が少ないのが懸念されるが、サモア・日本とはパシフィックネーションズカップでも戦っており、怖さはないだろう。初戦のサモア戦と、最終戦の日本戦の2戦は勝ちたい試合だ。

プールBは南アフリカ1位は揺るがない。問題は2位争いだが、順当にいけばスコットランドだろう。これに対抗するのがサモア。両チームは最終戦(10月10日)で対戦予定なので、それまでの日本・アメリカとの試合は確実に勝利しておきたい。逆に日本としては、スコットランド、サモア戦がカギに。2~5番手が混とんとしてくれば、勝ち点勝負になるので、勝ち点を稼ぐことも重要になってくるだろう。

プールC

出場国
過去最高順位
世界ランキング
ニュージーランド
優勝(1987,2011)
1位
アルゼンチン
3位(2007)
8位
トンガ
予選敗退
11位
ジョージア
予選敗退
16位
ナミビア
予選敗退
20位

プールC見どころ

前回優勝のオールブラックスが属するプールC。ニュージーランドが抜け出しており、1位通過は問題ないだろう。2位争いはアルゼンチンが軸となりそう。

今大会優勝候補筆頭のニュージーランド。プールCでは1位通過はほぼ問題ないと思われる。今回はキャプテンのリッチー・マコウ、NO8のキアラン・リード、SOダン・カーターとFW・バックス共に人材豊富。連覇に向けては決勝トーナメントで対戦すると予想されるアイルランドorフランス戦が大きなヤマとなりそうだ。

2番手筆頭はアルゼンチン。かつてはティア2とされていたが、大きく力を伸ばし、前々回に3位、前回もベスト8進出。南半球ラグビー・チャンピオンシップにも加入し、今年初めて南アフリカに勝利。スクラムを中心としたFWの強さに加え、CTB起用が濃厚なエルナンデスがBKを生かす戦いを見せるだろう。

この2チームに対抗するのがトンガ。過去に決勝トーナメント進出はないものの、前回大会ではフランスを破るなど2勝。大きなインパクトを残した。アイランダーのチームの中でもパワフルな選手が多く、キャプテンのニリ・ラトゥはその象徴のような存在。また、WTBヴァイニコロの突破力も大きな武器となる。

ジョージアはこのグループ4番手と予想されるが、ここ数年で大きく力をつけてきたチームの1つである。FWで圧倒する力を持っており、特にスクラムは世界でもトップクラスの実力を持つ。直前の日本戦では10-13で敗れたものの、終盤までリードしていた。パワフルなチームが多いプールCでも存在感を見せつけるだろう。

アフリカ予選を勝ち抜いたのがナミビア代表であるが、これまでW杯での勝利はない。隣国南アフリカでプレーする選手も多いが、ヨーロッパでプレーする選手も増えてきている。世界レベルでの経験不足は否めないが、今大会こそW杯悲願の1勝へ、まずは初戦NZとの対戦に全力を尽くしたい。

プールCはニュージーランドとアルゼンチンが予選突破という見方が濃厚である。波乱を起こす可能性があるのがトンガ。波に乗せると怖いチームであり、初戦ジョージア、2戦目ナミビア、3戦目アルゼンチンという対戦順も、トンガには味方しているか。全体的にFWに自信を持つチームが多く、試合自体の勝敗もさることながらスクラムでの勝負も大きな見どころとなりそうなプールだ。

プールD

出場国
過去最高順位
世界ランキング
フランス
準優勝(1987,2011)
7位
アイルランド
ベスト8(2011ほか5回)
6位
イタリア
予選敗退
14位
カナダ
ベスト8(1991)
18位
ルーマニア
予選敗退
17位

 

プールD見どころ

ヨーロッパのチームが4チーム、シックスネーションズ参加国のうち3チームが揃ったプールD。シックスネーションズを連覇したアイルランドと、前回準優勝のフランスが2強。これを追いかけるのが悲願のベスト8進出を目指すイタリアという構成となっている。

プールDを引っ張る1つがフランス。ここ数年はあまり良い年とは言えないシーズンが続いており、同じプールで対戦するアイルランドのも勝てていない。その一方で直前の地元でのゲームではイングランド・スコットランドに勝利し、調子は上がっている。前回準優勝時も予選プールは不調ではあったものの決勝進出しているのもまた事実であり、今回も気づけば最後まで、という可能性も出てくる。

対するもう一つの強豪アイルランドは今大会優勝候補の一角としてW杯に挑む。シックスネーションズを連覇し、世界ランキングは一時2位まで上昇。キャプテンであるポール・オコンネル、ショーン・オブライネンなどFW、SOジョナサン・セクストン、CTBとして出場が見込まれるロビー・ヘンショーなどBK陣も豪華なメンバーが揃った。ベスト8の壁を抜け出し、一気に頂点に上っていきたい。

この2か国に対抗するのがイタリア。W杯ではまだ予選プールを突破したことがなく、悲願の突破を目指す。世界的PR・スクラム番長であるカストロジョバンニはじめ、FWの強さで引っ張っていきたい。イタリアにとっては初戦のフランス戦が最重要で、けがを抱える主将NO8パリセが間に合うかどうかも大きなポイントになりそうだ。

この3か国に挑むのがカナダ。W杯には全大会出場している。チームには海外でプレーしている選手と国内でプレーする選手が混ざっており、7人制と兼任する選手も多く、ボールを動かして勝負していきたい。2戦目のイタリア戦で勝利できれば、上位も見えてくる。

最後の1か国はルーマニア。W杯には全大会出場し、5勝を挙げている。大きな選手が多く、強力スクラム中心にタフなFWがチームを引っ張るスタイル。前回大会では勝利を挙げられなかったので、今大会こそ勝利を目指す戦いとなるだろう

プールDの注目は上位2チームをかけた争いもそうだが、決勝トーナメントを考えると、1位通過と2位通過では大きく異なる。このプールで2位通過の場合、ニュージーランドとの対戦が確実視されるため、優勝を目指すにはいきなりの対戦は避けたい。アイルランド、フランスともに1位を目指した争いが見られそうだ。両者の対決はプール最終戦の10月11日。注目の一戦になりそうだ。