ラグビーW杯予選プール振り返り~ティア2の悲喜~

ラグビーW杯の予選プールが10月11日(日)に終わりました。全40試合が行われ、8チームが決勝トーナメント進出し、準々決勝4試合が始まります。

決勝トーナメントも楽しみではありますが、ここではまず、予選プールを振り返っておきたいと思います。

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予選プール結果

プールA

国名 勝点 得点 失点
1オーストラリア 17 4 0 0 141 35
2ウェールズ 13 3 0 1 111 62
3イングランド 11 2 0 2 133 75
4フィジー 5 1 0 3 84 101
5ウルグアイ 0 0 0 4 30 226

今大会、「死のグループ」といわれたプールA。このプールからはオーストラリアとウェールズの2カ国が決勝トーナメント進出となりました。

なんといっても開催国であるイングランドが予選プールで敗退したのが大きかったですね。ウェールズvsイングランドの試合が大きなゲームになったかと思います。決勝トーナメントに進むチームでは、ウェールズはけが人の多さが気になります。準々決勝は南アフリカ相手の対戦です。オーストラリアはスクラムでも強さをみせつけて、このプールで首位。準々決勝はスコットランド相手ですが、予選を見ると一気に優勝候補に駆け上がってきたように思えます。

また、このプールをかき回すのでは、と見られていたフィジーは、上位3カ国相手に3連敗。最終戦のウルグアイには完勝しましたが、4位終了し、次回日本大会の参加権は得られず、次回W杯は地域予選からの参加となります。後述しますが、オセアニア地域が激戦区となりそうです。最終予選で最後のW杯枠を掴んだウルグアイは4連敗で勝ち点0で終わりました。このプールではさすがに厳しい戦いを強いられたと思います。

プールB

国名 勝点 得点 失点
1南アフリカ 16 3 0 1 176 56
2スコットランド 14 3 0 1 136 93
3日本 12 3 0 1 98 100
4サモア 6 1 0 3 69 124
5アメリカ 0 0 0 4 50 156

日本代表の活躍が目立ったプールB。その日本は3勝1敗で上位チームと勝ち星では並んだものの惜しくも決勝トーナメント進出とはならず。勝ち点の差が響いた形になりました。決勝トーナメントは南アフリカとスコットランドが進出です。

南アフリカは日本戦に敗れたものの、これで火がついたのか、その後は盤石の強さを見せて1位通過。決勝トーナメントはウェールズとの対戦です。2位通過はスコットランド。前回初めて決勝トーナメントに進めなかったものの、今回は再びベスト8に返り咲きです。

日本代表は3勝1敗の勝ち点12で3位。決勝トーナメントにはいけないものの、3位以内で次回の出場権を地元開催枠ではなく、自力で獲得しました。サモア代表は初戦のアメリカ戦に勝ったものの、その後は3連敗。最後のスコットランド戦は熱い試合を見せたものの3点差で敗れることになりました。アメリカ代表は4連敗で勝ち点を奪えず。サモアとアメリカは次回日本大会の出場権をかけて地域予選から戦うことになります。

プールC

国名 勝点 得点 失点
1ニュージーランド 19 4 0 0 174 49
2アルゼンチン 15 3 0 1 179 70
3ジョージア 8 2 0 2 53 123
4トンガ 6 1 0 3 70 130
5ナミビア 1 0 0 4 70 174

プールCは比較的順当に勝敗が決まったプールとなりました。優勝候補ニュージーランドが危なげなく1位で決勝トーナメントへ。さらに2位にはこちらもアルゼンチンが予想通り入り、この2カ国が決勝トーナメント進出を決めました。

ニュージーランドは、準々決勝でフランスと対戦。W杯では分が悪いフランス相手、しかも場所はカーディフのミレニアムスタジアム。2007年W杯で同じく準々決勝で敗れた地でフランスとの再戦となります。

アルゼンチンもNZには敗れたものの、残りのチームには勝利し、2位で決勝トーナメント進出。まずはプールD1位のアイルランドとの対戦になります。

比較的順当な結果となったプールDですが、その中でジョージアが初の大会2勝をあげ、3位に食い込みました。その結果、ジョージアが2019年大会の出場権を獲得。初戦のトンガ戦の勝利が大きかったですね。

逆にトンガは、ナミビア戦の勝利のみで4位。地域予選からW杯を目指すことになります。アフリカ予選を勝ち抜いたナミビアは残念ながら4連敗。しかし、ジョージア戦で初の勝ち点を奪い、ニュージーランドにも勇敢に戦い、トライも奪うなど大きなインパクトを残した大会になりました。

プールD

国名 勝点 得点 失点
1アイルランド 18 4 0 0 134 35
2フランス 14 3 0 1 120 63
3イタリア 10 2 0 2 74 88
4ルーマニア 4 1 0 3 60 129
5カナダ 2 0 0 4 58 131

最後のプールDも比較的順当な試合結果となりました。1位通過は全勝のアイルランド。けが人が気になるところですが、準々決勝進出決定です。最終戦の全勝対決には敗れたものの2位に入ったのがフランス。欧州の2カ国が順当に決勝トーナメント進出を決めました。

1位通過のアイルランドはアルゼンチンと、2位のフランスはニュージーランドとの対戦になります。

3位に入ったのがイタリア。初戦のフランス戦がキーとなるところでしたが、これに敗れ、結果的には2勝2敗。またしても決勝トーナメント進出はなりませんでした。

4位に食い込んできたのはルーマニア。カナダ戦に逆転勝利し、1勝を挙げてW杯を終えました。残念ながら4連敗となったカナダですが、各試合を見ると、イタリア戦・ルーマニア戦と最後まで分からない試合が多く、惜しくも敗戦したゲームが続きました。ルーマニアとカナダは次回地域予選からW杯を目指すことになります。

今大会の特徴は?

というわけで、各プール別に簡単に見ていきましたが、今大会の予選プールの特徴をもう少し見ていきたいと思います。

ティア2の活躍

個人的に今大会はティア2以下のチームの活躍が目立った大会だと感じています。ラグビーの場合「ティア1」と一般的に呼ばれるカテゴリーがあり、これに属するのが北半球6カ国(イングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、フランス、イタリア)と南半球の4カ国が属しているとされています。(イタリアとアルゼンチンは微妙なところもありますが。)これに対して、ティア2とはそれ以下のカテゴリーに属するチームで、フィジー・トンガ・サモアのアイランダーやカナダ・アメリカ、さらにジョージア・ルーマニアなどの欧州組と日本がそれに属すると考えてよいでしょう。

今大会では、そのティア2の活躍が目立った大会かなと思います。もちろん、その代表的な存在は日本代表です。W杯で今の予選プールの形(5チームずつ4つのプールに分かれて行う)になったのは2003年W杯からですが、それ以降W杯予選プールで3勝を挙げたチームというのは前述したティア1のチーム(ただしイタリアは除く)と2007年のフィジーの10カ国だけです。そして、これまで予選プールで3勝して敗退したチームはありません。また、それに加えて、南アフリカというW杯で最も勝率の高いチームに勝利したというのは、大きなインパクトを与えました。

またこれ以外にもティア2の活躍が目立ったと思います。例えば、ジョージア。日本代表とはW杯前に練習試合をするなど、よく試合をしている相手ですが、今大会で初の2勝を挙げました。日本代表の3勝があまりに大きいので目立たないですが、トンガに勝って、ナミビアに勝利し、1大会で2勝をあげ、プール3位。次回日本大会の出場権を獲得したことはジョージアにとって大きな出来事だったかと思います。

これ以外にもカナダはイタリア相手に23-18と5点差、ルーマニア相手に15-17と2点差で惜しくも敗れたものの存在感を発揮するなど、ティア2と呼ばれる国が実力をつけてきたことを示す大会になった気がします。

アイランダーの不調

その一方で、不調に終わったチームもあります。もちろん開催国であるイングランドが予選プールで、ウェールズ、オーストラリアに連敗し、決勝トーナメント進出を逃したことは大きなニュースでした。が、これ以外にも気になったのが、これまでの大会でもインパクトを残してきたアイランダーの3ヶ国(フィジー・トンガ・サモア)が不調に終わってしまったことです。これらの国では、恵まれた体格を活かした突破力と、オフロードパスを駆使して一気に攻め込むアタックで各大会を盛り上げてきました。フィジーやサモアはベスト8に入ることもあり、トンガも前回大会ではフランスを破るなど大きな話題となってきました。

しかしながら今大会では、ともに1勝3敗と成績がふるわず、各プール4位で終わることになりました。

次回大会の地域予選は?

この結果として、次回大会の予選に大きな影響を与えることになりそうです。

今大会の成績で次回2019年のW杯日本大会への参加権が与えられるのは3位までです。そのため、4位・5位のチームは地域予選から再び勝ち上がってくる必要があります。

今回のイングランド大会での地域予選枠は以下の通りです。

  • ヨーロッパ2枠(1位2位がW杯出場権獲得)
  • オセアニア1枠(1位がW杯出場権獲得)
  • アフリカ1枠(1位がW杯出場権獲得)
  • アジア1枠(1位がW杯出場権獲得)
  • アメリカ大陸2枠(1位2位がW杯出場権獲得)
  • 最終予選1枠(1位がW杯出場権獲得)

もし今大会と同じ出場枠だとすると、オセアニア1枠に対し、フィジー・トンガ・サモアの3カ国が争うことになります。そこで敗れたチームは最終予選を勝ち抜けばW杯出場となりますが、それでいっても最大2チームしかW杯に出場できません。

ちなみに日本はこれまでアジア予選を勝ち抜いて参加していましたが、今回は3位以内に入ったことで、次回の出場権を自力で確保しました。(確保できなくても地元開催枠で参加は出来たかと思いますが。)これまでアジアで出場したことがある国は、日本のみです。

次回W杯の予選の仕組みなどはまだ決まっていませんが、ひょっとすると、予選の枠組みから変更される可能性もありそうな気がします。この辺りはどうなっていくか注目する必要がありそうです。

ティア1とティア2の実力差の縮まり

また、今大会のもう一つの特徴として、大差がついてしまう試合が大きく減ってきたといえるかと思います。これまでの大会ではティア1とティア2以下の実力差が大きく、大差がつく試合が多かったです。それがこの大会では少なくなってきたように思います。

ちなみに今大会の得失点差の大きかった試合は以下の通りです。

対戦カード 結果 得失点差
 南アフリカ-アメリカ 64-0 64
オーストラリア-ウルグアイ 65-3 62
イングランド-ウルグアイ 60-3 57
アルゼンチン-ジョージア 54-9 45
アルゼンチン-ナミビア 64-19 45
ウェールズ-ウルグアイ 54-9 45

これを見ると得失点差が大きいように感じますが、2011年大会や2007年大会も見てみましょう。

<2011年大会>

対戦カード 結果 得失点差
 南アフリカ-ナミビア 87-0 87
ニュージーランド-日本 83-7 76
ウェールズ-ナミビア 81-7 74
ウェールズ-フィジー 66-0 66
ニュージーランド-カナダ 79-15 64
イングランド-ルーマニア 67-3 64

<2007年大会>

対戦カード 結果 得失点差
 ニュージーランド-ポルトガル 108-13 95
オーストラリア-日本 91-3 88
ニュージーランド-ルーマニア 85-8 77
フランス-ナミビア 87-10 77
ニュージーランド-イタリア 76-14 62

これを見ると、得失点差が少なくなってきているかと思います。特に50点差を超えるようなゲームは少なくなってきました。もちろんそれでも差があるものの、100点を超えるようなゲームは出てきておらず、徐々に差が縮まってきたといってもいいでしょう。
今後でいえば、現状の20チームの対戦から24チームに増やすことも検討すべきかと思います。現状の20チームだと、出場国がほぼ変わらず、いつもの国で対戦するのが当たり前になります。ラグビーのすそ野を広げるためにももう少し参加国を増やすべきかと思います。

最後に

というわけでワールドカップイングランド大会の予選プールの結果から色々とみてきました。何はともあれ、予選は終わりましたがこれから決勝トーナメントが始まります。日本代表は出場しないものの、ここから先はトップチームのトーナメントで一戦一戦が目の離せない試合になります。みなさんも是非決勝トーナメントをご覧ください。

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