ラグビー・リオ五輪最終登録メンバーを巡る報道の矛盾

リオオリンピックに参加するラグビーの日本代表の最終登録メンバーが発表されました。7月17日に、これまで発表されていたメンバーから最終登録メンバーとなる12名の日本代表が決まりました。

ただ、この中に15人制ラグビーでは日本代表で、2015年イングランドW杯で活躍した山田選手、藤田選手(ともにパナソニック)、さらに大学生から唯一選出されていた松井選手(同志社大学)が最終登録メンバー12名から外れることになりました。

これに関してはすでに発表されており、下記の記事がかなり話題となっています。

【7人制ラグビー】山田、藤田ら「掟破り」の落選!

個人的には、先に壮行会を行ってしまったというのはどうか、という気はしていますが、選考自体はそこまでおかしくないと思っています。

というわけで、今回はリオ五輪の男子セブンズ最終メンバーの選考について考えてみたいと思います。

※以下は個人的な推測を多く含んでいますので、事実とは異なる可能性もあります。それをふまえた上で読んでいただければ幸いです。

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リオ五輪最終登録メンバーは12名

まず大前提として、リオ五輪の最終登録メンバーは12名と決まっています。それに対して事前に発表された日本代表選手団は14名でした。(下記参考にしてください)

男子ラグビー日本代表、リオ五輪に向けた14名発表!瀬川HCが語る選考理由と予選プールの戦い方

リオ五輪には12名が最終メンバーで、そこに2名のバックアップメンバーが選ばれることになります。今回発表されたのはこの最終メンバー12名です。

この2段階での発表がいいかどうかは議論が分かれるところでありますが、14名→12名への選出は既定路線であったので、いずれにしても2名は最終登録メンバーには選ばれないことになっていました。

この選出方法については課題ありだと思いますが、2名が外れる事は予め分かっているので、14名のうち誰が外れてもおかしくないです。いくら有名な選手であろうと、外れる事はあるので、それに対しては受け入れるしかないでしょう。

予想外だった豊島選手のメンバー入り

ただ、ここで予想外の事が起こります。それが事前に発表された日本代表選手団14名からは外れていた豊島選手(東芝)のメンバー入りです。これによって、元々2名が外れるはずたったのが、3名外れることになりました。そのため、今回は前述の山田選手、藤田選手、松井選手の3名が外れる形になりました。

ではなぜこの逆転でのメンバー入りが起きたのでしょうか。少し考えてみたいと思います。(以下、個人的推測です。)

山田選手の怪我

おそらく一番大きかったのは山田選手の怪我でしょう。怪我の影響により、直前のオーストラリア合宿(7月4日〜14日)にも不参加となってしまいました。最終選考はオーストラリア合宿後に行われました。まずは山田選手の怪我の状況を確認してから、となったかと思いますが、結果的に外れる事になりました。

怪我が思うように治っていないのか、コンディションが不安なのか、どの程度なのかは不明ですが、現時点ではメンバーから外すという選考をした、ということでしょう。

山田選手不在によるHO選手の減少

上記、山田選手の不在によって生じたのがHO選手の減少という問題です。先に選ばれた14名のメンバーの中で、HOの選手は彦坂選手と、レメキ選手(PRも兼ねる)の2人となります。2人いるのでいいという考えもありますが、レメキ選手はセブンズではエースですので、大事な試合では代えがたい存在です。選手選択の幅を広げる、また何かあった際に緊急的に出場できる選手としてHOの選手を入れておきたいという思いがヘッドコーチ初めとするコーチ陣にはあったのではないでしょうか。

HOとしては14名から外れた中に小澤選手(トヨタ)がいました。また、この他には豊島選手も今年になってからHOにもチャレンジしていました。オーストラリア合宿中にもHOとしても活躍していたようです。(下記参照)

豊島、「びっくり」復帰!バックアップ選手から唯一選出/7人制

HOもでき、BKとしてユーティリティーに活躍できる豊島選手

オーストラリア遠征中にHOとしても活躍した豊島選手を見て、山田選手がいないならもしもの時のHOとして豊島選手を選択した可能性が高いと考えています。

そもそも、豊島選手はセブンズではSHとして活躍していた選手。男子セブンズではSHには合谷選手(クボタ)と豊島選手の2人がメインで、セブンズワールドシリーズでも活躍してきました。元々BKとして、能力の高かった豊島選手が、HOとしてもしもの時に代役できるようになった、というのが、逆転でメンバー入りした大きな要因だと思います。

SH枠が増えてしまったため、藤田選手落選?

さて、山田選手の怪我により、もしものための豊島選手が最終12名に選ばれたとなると、もう1つ問題が起きます。それはSHの選手が増えてしまったという問題です。セブンズのSHは合谷選手と豊島選手、藤田選手と3人になりました。もちろん、3人でもいいですが、山田選手不在により、FW選手が1人減ってしまったため、必然的にBK選手を最終候補から外さざるを得なかったと推測しています。

そもそも、FW選手でいえば、エースのレメキ選手(ホンダ)、キャプテンである桑水流選手(コカ・コーラ)、セブンズになくてはならなくなった副島選手(玄海タンガロアラグビー)、こちらも欠かせないトゥキリ選手(クボタ)など、必要不可欠の選手が多くいます。そのため、どうしても2名外さないといけない場合にはBK選手からと考えたでしょう。

その中で、SH枠の中から藤田選手が外されてしまったのではないかと考えています。もちろん、藤田選手は7人制でもステップなど魅力的な選手ではありますが、やむなく最終候補からは外れた、と推測しています。

最後の1枠は福岡・松井のWTB枠の争い

さて、加えて12名にするには最後のもう1枠を削る必要があります。おそらく最後の1枠は福岡選手(パナソニック)、松井選手(同志社大学)での争いになったのではないでしょうか。ともにWTBとしてスピードがあり、フィニッシャーとして後半から出場するような選手としての起用がメインとりそうな選手です。

両者ともにスピードある選手ではありますが、この2人で、フィジカル面及びディフェンス面も考慮して福岡選手が選出されたのでは?と推測しています。松井選手もスピードある選手で、セブンズでのスピード面を考慮すれば、日本代表でもトップクラスですが、特にフィジカル面を考慮すると、強豪国相手にした場合、やや劣ると判断された印象です。

結果として、山田・藤田・松井の3選手が最終候補に入れず

この結果、山田選手、藤田選手、松井選手の3選手が最終候補から外れる形になってしまったのではないかと推測しています。もちろん他の要素もあったかと思いますし、最終判断はヘッドコーチにあります。戦術的な側面、個々人のコンディション、状態などから判断したと思いますが、そこまでおかしな選出ではないかと思います。

セブンズと15人制は異なる

また、今回最終候補から外れた3名は、知名度の高い選手でした。山田選手はそもそも15人制でW杯でもトライを奪い、今や日本を代表する選手です。藤田選手も15人制の日本代表であり、高校時代からその才能を注目されていました。こちらもW杯でトライを取っています。

また、松井選手も若いながらもセブンズでは経験ある選手で、そのスピードは将来エースとして活躍が期待できる選手で、また、度々メディアにも登場した選手ではありました。

いわば、日本代表の広告塔のような選手達であったからこそ、外れたことが個々まで大きな話題となったのだと思います。

ただ、セブンズは15人制とは異なります。15人制では間違いなくトップ選手である山田選手もセブンズではあくまでチャレンジャーとして臨む立場です。これは15人制で日本代表であった藤田選手と今回候補に残った福岡選手も同じ立場だったでしょう。

セブンズ代表メンバーはここまでセブンズに特化して、大きく成長してきた選手達です。ネームバリューこそあっても15人制からきた選手はまずは実力でメンバー入りを掴みとる必要があった選手達でした。

そういう意味では、個人的に松井選手が12名から外れたことは意外であったと感じています。ただ、これは直前の豪州合宿、そこでの練習試合の結果が影響したのではないかと思っています。選手選考はあくまでコーチ陣が決めるので、それに対しては仕方ないでしょう。

まだバックアップメンバーに入る可能性有り

それと、今回は12名の発表でしたが、まだバックアップメンバーは発表されていません。バックアップメンバーはもし怪我人等が出た際に代わりに出場可能な選手です。ラグビーは怪我が多いスポーツなので、ここに選ばれれば、オリンピック出場のチャンスはあります。すでに選手自身もそうだとは思いますが、まずはバックアップメンバーとして出場を期待しています。

山田、バックアップ諦めん!選出外に無念「悔しい」/7人制

女子も直前でメンバー変更しているが報道されていない

ところで、こんな直前になってのメンバー変更はおかしいと感じた人も多いと思います。最初のニュースだけを見ると、「こんな不協和音を作るような事を直前でしなくてもいいのでは?」とか「こんなことやっていたら男子ラグビーは勝てないだろ」とか思う人もいるでしょう。

実は報道こそされていないですが、女子ラグビーのセブンズの最終候補も12人が発表されています。女子の方はそれまで13人が日本代表選手団として選ばれており、その他としてバックアップメンバー2人も事前に選ばれていました。

ところがこちらも最後の最後でメンバーの変更がありました。

バックアップメンバーだった、鈴木選手と三樹選手(ともにアルカス熊谷)が12名の最終登録メンバーになり、竹内選手(アルカス熊谷)、加藤選手(世田谷レディース)がバックアップメンバーに変更。さらに、13人の日本代表選手団にいた中丸選手はメンバー外となりました。

男子については大きく報道があった一方で女子のこのメンバー変更についてはほとんど報道されていません。(下記、斉藤さんの記事くらいでしょうか)

リオ五輪、ラグビー日本代表内定選手12名発表!男子は山田、藤田、松井が外れ、豊島が逆転でメンバー入り

男女でニュアンスが全く異なる記事に

男子について大騒ぎするのであれば、女子についても同じ事が言えるでしょう。でもこちらについては特に何も触れていません。特に男子について、掟破りとまで書いたスポーツ紙では女子の方は全く問題にしていません。それどころか怪我を乗り越えて逆転でのメンバー入りを讃えているかのようなタイトルになっています。

【7人制女子ラグビー】第一人者の鈴木、じん帯断裂乗り越えメンバー入り

掟破りと書いた記事と全く同じ事が行われているのに、何も触れていません。(個人的には、男子が掟破りであれば、女子の方も掟破りだと個人的なのでは?と思っていますが)

今回の件が掟破りと感じる人もいるでしょう。事前にメンバーを決めておいてその後にさらにメンバーを変更するのはどうなのか?と思う人もいるでしょう。そこについては確かに問題があったかもしれません。

でも、全く同じ事をしているのに男子は掟破りで、女子は全く問題にしない、というのは報道としていかがでしょうか。

結局ネームバリューのある選手が外れたから問題にしたいだけでは?

個人的にはこの問題はさほど問題ではないと思っています。どんなスポーツであっても、団体スポーツであれば選手選考の問題は出てきます。選手の枠が決まっている以上、それ以上選手を選ぶ事はできません。そしてその前には合宿等行うので、選手枠以上に選手を呼んで、そこからメンバー選考するというのはふつうです。

また、選手選考に関しては監督やヘッドコーチが行うものであり、外野からすれば、あの選手の方がいいのに・・・と思う事も多々あります。そしてそれ以上に選手選考は、選手を選ばなければならない監督・ヘッドコーチなどが最後まで頭を悩ませる問題でしょう。

今回もその結果、選手選考が行われたわけです。それに対して結果が伴わなければ批判され、そして、解約されるという世界です。

今回は結果としてネームバリューのある有名な選手が外されてしまったから大きく話題として取り上げ、掟破りなどと強い言葉で煽っています。が、本当に掟破りだと思って記事を書いたのではなく、「有名選手が外れたからこれは問題だ、記事として大きく扱え!」という思いがあったのではないでしょうか。それが男子と女子の扱いの差に表れている気がします。

直前でメンバーを変えるのが掟破りだというのが主張であれば、その主張は自由です。好きか嫌いかはともかく、好きに主張してしまって構いません。でもそれなら、同じ選考方法をしている男女でなぜこんなに記事が変わるのかを教えていただきたいものです。

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コメント

  1. NAOTO IWAWAKI より:

    拝読させていただきました。普段は男子7人制など全く報道しないスポーツ紙が親の敵のようなタイトルを掲げて選手選考に云々カンヌン噛みついているのは全くナンセンスだと思います。とにかく7と15をごっちゃにしている人がまだたくさんいる。サッカーでいえば11人とフットサル、バレーボールとビーチバレー位の差はある別物であることを周知させるのもマスコミの使命かと。私個人の好みでは15人しか競技としては興味がありませんが、オリンピック種目で日本代表が出場するので応援します。以上です。